2005 Fiscal Year Annual Research Report
一般化したミューラー行列顕微鏡の開発とラフト構造の動的可視化への応用
Project/Area Number |
17654081
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大場 哲彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10250664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 和夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80115394)
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Keywords | ミューラー行列 / 偏光顕微鏡 / 生体膜 / 蛍光 / 可視化 / ラフト構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、液晶偏光素子を用いて、試料からの偏光応答のすべてを測定可能な一般化した偏光顕微鏡を開発し、生体膜研究でのホットな話題のひとつであるラフトの存在や性質を明らかにすることである。本年度は、まず、試料のミューラー行列を決定するための理論を構築し、液晶偏光素子(FLC素子)単独の光学応答の測定と、偏光子・波長板・FLC素子を複数組み合わせた場合の偏光挙動のシミュレーションを行った。4x4の試料のミューラー行列を完全に決定するためには、最低、4種の偏光子と検光子の組み合わせで、16回の測定を行う必要がある。無数に存在する偏光の組み合わせの中で、決定されるミューラー行列の精度を決めているのは、4種の偏光のストークスベクトルで生成されるA行列の行列式の大きさであることが理論的に明らかになり、単独のFLC素子の偏光応答の測定で実験的にも裏付けられた。現在入手可能なFLC1/2波長板を用いた場合、最も精度良く、ミューラー行列を決めるための組み合わせは、FLC1/2波長板2枚、固定1/6波長板2枚、偏光子1枚の組み合わせであることが、シミュレーションの結果、明らかになった。蛍光顕微鏡への実装では、蛍光発光波長が広幅になるため、波長板やFLC素子を組み合わせた場合の波長依存性が問題になる。これについても、その影響を最小限にするための素子を組み合わせが存在することを見出した。以上の結果を元に購入した素子を組み合わせて、現在、システムの構築を行っている。
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