2005 Fiscal Year Annual Research Report
高干渉性X線を用いた蛋白質分子内部運動の時間相関測定
Project/Area Number |
17654084
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中迫 雅由 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30227764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 俊彦 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (60344389)
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Keywords | 生体分子 / X線散乱 / 干渉性 / 中間散乱関数 / 放射光 / ダイナミクス |
Research Abstract |
本申請では、蛋白質の運動性を実時間計測できる新たな実験手法として高干渉性X線を利用したスペックルパターンの時分割測定による蛋白質内部運動の時間相関測定を試みた。本年度は、主に、高干渉性X線を用いた金コロイドの散乱をSPring-8のBL40XUにおいて時間分解測定した。まず、X線ミラーによってアンジュレーターから放射されるX線の高調波成分を除去し、モノクロメータで単色X線(波長1Å)を得、チョッパーによってパルス状X線を作り時間分割測定に供した。さらに、単色化X線を10ミクロン程度のアパチャに通してフラウンホーファー回折させ、エアリーディスク中心部分に局在する高干渉性X線を切り出して試料に入射する。検出器には空間分解能の高いイメージインテンシファイヤを取り付けたCCDカメラを使用して散乱データの取得を行った。得られたスペックル散乱データを解析するための専用ソフトウエアを開発し、実験条件における問題点を明らかにすることができた。散乱データは低温下で取得したが、試料温度を100K付近に保つための低温窒素ガス流が試料自体を微妙に振動させ、スペックルパターンが見かけ上変化する効果をもたらしていることが判明した。また、試料定盤からの振動について検討するため、真空ポンプ、シャッターユニット、ゴニオメータなどの運動を逐次停止しながら散乱パターンの測定を行い、それぞれの振動要素からの寄与を見積もった。また、生体高分子試料として、コラーゲンからのスペックルパターン、さらには、グルタミン酸脱水素酵素結晶の低分解能反射の時間変化についても測定を行った。このような基礎データを元に、蛋白質内部運動の原子レベルでの中間散乱関数測定を開拓し、これまでの実験手法が未だ到達し得ていない時間空間領域へのアプローチを可能としたい。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Structural analysis of cell membrane complex of a hair fibre by micro-beam X-ray diffraction2005
Author(s)
Ohta, N., Oka, T.Inoue, K., Yagi, N., Kato, S., Hatta, I.
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Journal Title
J.Appl.Cryst. 38
Pages: 274-279