2005 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素の地下挙動予測手法の開発:二酸化炭素地中処分の実現にむけて
Project/Area Number |
17654097
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶋本 利彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20112170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 富士雄 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30091929)
堤 昭人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90324607)
藤本 光一郎 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (80181395)
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Keywords | 二酸化炭素排出削減 / 地球温暖化ガス排出削減 / 水理学 / 地質学 / 固体地球物理学 / 断層帯 / 地下流体移動 |
Research Abstract |
二酸化炭素の大気への放出量を減らすことは,一刻の猶予も許さない緊急課題であり,二酸化酸素の深部帯水層中への注入処理は,1つの対策と考えられている.本研究では,注入された二酸化炭素の挙動を予測するために必要な地下浸透率構造を決める方法を開発する.地震発生の影響も評価するために,破断面および断層帯の影響をも含めた浸透率構造を見積もりたい.初年度の成果としては,台湾北西部,新潟平野,宮崎平野および三浦半島の第三紀層と第四紀層の地下浸透率・間隙率・比貯留率・Skempton常数を求めた.とくに,台湾北西部のガス田地域では実測された性質に基づいて堆積作用と流体移動の競合過程を解析して,ガス田で実測された異常間隙圧と見事に一致する結果をえた.また,長岡市の二酸化炭層注入テストサイトでは,注入深度の1kmの深さでは流体が非常に通りやすいことを実測で示した.さらに,破断面と断層帯が多孔質堆積岩中の流体移動に与える影響について調べた.緻密な基盤岩が変形を受けると断層帯内部及び亀裂沿いに極めて流体が通りやすくなるが、多孔質堆積岩の場合には、断層内部の物質が細粒化と圧密を受けるために、断層帯はむしろ周囲の堆積物よりも流体が通りにくくなることが多い。また、多孔質堆積岩は母岩が空隙をもっているために、亀裂が形成されても新たに大きな空隙が形成されるわけではない.堆積岩は圧密・セメンテーションの進行とともに固結して流体を通しにくくなるが、隙間が少なくなると、堆積岩でも断層帯・破断面沿いに流体は通りやすくなる。両者の中間、つまり圧密が十分に進行して流体が通りにくくなっているけれども、断層帯・亀裂面沿いに流体が容易には動けない状態で、堆積岩は「最大シール能力」をもつことを提唱した。この概念は,堆積岩中の流体移動を調べる上で基本的な概念になると期待される.
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