2005 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマニピュレータシステムを応用した極微小地球外物質の回収方法の確立
Project/Area Number |
17654103
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
野口 高明 茨城大学, 理学部, 助教授 (40222195)
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Keywords | マイクロマニピュレータ / シリカエアロジェル / SM / MPAC&SEED / マイクロメテオロイド |
Research Abstract |
本研究ではマイクロマニピュレータを使ってシリカエアロジェルから微小な(数μm程度)のマイクロメテオロイドを取り出す技術を確立することを目標としている。まずはじめに,タングステン線を電解研磨を行い鋭利な針状の先端を持つものを作成した(以下,針とよぶ)。この針をエアロジェルの切り出しに用いた。効率よく針を作成できる電解研磨条件は以下のとおりである。電解液は3規定水酸化カリウム溶液,タングステン線は0.35mmφ,他の電極には0.3mmφの白金線を直径30mmのループ状にしたもの,交流研磨(10V)である。この針を用いてシリカエアロジェルを切ることを試みたが,数mmより小さなブロックを切り出すのは困難であった。一方,エアロジェルをすこしずつ割るには適していた。次に,角膜手術用の小型刃をもちいたところ,タングステン線よりきれいな切断面を得ることができた。鉱物粒子をシリカエアロジェルに打ち込んだものを用いると,捕獲粒子が30-50μm径あれば,小型刃と針を使って粒子の掘り出しが可能であった。しかし,切り出し時に,マイクロマニピュレータによって刃に少しずつ力を加えていっても,実際に刃がエアロジェルを切りはじめるまでの間のエアロジェルの変形はまだ大きく,SM/MPAC&SEEDなどの大気圏外曝露試料をこの方法で掘り出すには,さらに何らかの手段で刃の切削抵抗を減らす必要がある。切削抵抗をへらす手段を検討していたところ,Ishii et al.(2005)の同様なテーマについての論文が送られてきた(2006年1月末)。この論文によると,ピエゾ素子を用いた超音波振動子によって小型刃を振動させ切削抵抗を激減させることが可能であるとのことである。彼らは数百μmのブロックを切り出せただけなので,次年度はピエゾ素子を導入して粒子を掘り出す直前までの切削を可能にし,実際の試料を使って研究を行いたい。
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