2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境中極微量アミノ酸の分子内炭素同位体分布の迅速・高精度計測
Project/Area Number |
17654109
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 桂太 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (70323780)
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Keywords | 分子内炭素同位体比分布 / アラニン / アセトアルデヒド / ガスクロマトグラフ・熱分解・同位体比質量分析計 |
Research Abstract |
本研究の目的は、環境内に獄微量に存在するアミノ酸(本研究ではモデル化合物としてアラニンを選択)について、分子内炭素同位体比分布を迅速かつ高精度に計測する方法を確立することにある。計測法としては1.アラニンを酵素反応により二酸化炭素とアセトアルデヒドに定量的に分解し、2.生成した二酸化炭素の炭素同位体比をガスクロマトグラフ・質量分析計で計測、3.生成したアセトアルデヒドの分子内炭素同位体比分布をガスクロマトグラフ・熱分解・同位体比質量分析計で計測、する。ガスクロマトグラフ・同位体比質量分析計およびガスクロマトグラフ・熱分解・同位体比質量分析計を用いることで、ナノモルオーダーの試料量で簡便かつ高精度計測を目指す。本年度は、アセトアルデヒドの分子内炭素同位体比分布の決定に注目し研究をおこなった。はじめに、製造元が異なるアセトアルデヒド試薬を数種類準備した。ガスクロマトグラフ・熱分解・同位体比質量分析計を用いた方法を検討する前に、これら試薬について、あらかじめ分子内分布を決定することが必要である。従来法として、アセトアルデヒドをガラス管にH2Sとともに封管し、熱分解することで生成するCOとCH4について同位体比計測をおこなうことで決定されるとされていたが、その方法の詳細な条件・測定法の正確さについては報告がないことから、まず、封管熱分解法によるアセトアルデヒドの分子内炭素同位体比分布を決定する方法を検討した。結果、5μlのアセトン試薬を、ガラス管に封入し500度で30分間熱分解することで得られるCOとCH4の炭素同位体から、もとのアセトアルデヒドの分子内炭素同位体を±0.3‰の精度・確度で復元できることがわかった。この方法では危険なH2Sガスを使わなくてもよい条件を見つけ出した。また、ガスクロマトグラフ・熱分解・同位体比質量分析計をもちいて、アセトアルデヒド試薬の分子内炭素同位体比分布をオンラインで計測する方法を検討し、熱分解温度を1000度とすることで、計測できる可能性を得た。今後は、まずはじめに、水溶液として得られるアセトアルデヒドのガスクロマトグラフ・熱分解・同位体比質量分析計によるオンライン計測法の確立を目指す。
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