2006 Fiscal Year Annual Research Report
高純度ダブルスパイクを用いた希土類元素同位体質量分別の測定
Project/Area Number |
17654110
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 剛 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (00236605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 鋼志 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (70183689)
浅原 良浩 名古屋大学, 環境学研究科, 助手 (10281065)
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Keywords | 希土類元素 / 地球科学 / 同位体質量分別 / 環境評価 / ダブルスパイク |
Research Abstract |
実験:昨年のサマリウムに引き続き,ネオジムの安定同位体比精密測定の検討を行った。ネオジムの同位体分別測定に用いる安定濃縮同位体は、実験室内で年代測定に関わる同位体(^<143>Nd,^<144>Nd,^<146>Nd)への混入をさけ、かつ入手今回は、9種類の試薬試料および8種類の岩石試料(玄武岩、花崗岩、流紋岩、チャート、石灰岩、ドロマイト)より得られた、Nd安定同位体比についての予備的結果を紹介する。本発表におけるNdの同位体比は、144Ndを分母同位体とし、暫定的に試薬試料(JNdi-1)の平均値を基準とした一万分率(εスケール)で表現する。JNdi-1の繰り返し分析の結果、ε^<146>Ndの外部精度は原子質量単位あたり±0.2ε(2SD,n=11)であった。 使用可能な濃縮同位体として、^<145>Ndと^<150>Ndを用いた。サマリウムと同様、total evaporation法で測定を行った。^<145>Ndと^<150>Ndは、天然試薬と混合し測定にかけた場合に^<145>Ndと^<150>Ndピークの大きさが被測定試料からの^<144>Ndのほぼ2.5倍になる様に、調整混合した。同位体分別を検出する同位体は、4amu離れた^<144>Ndと^<148>Ndをもちいた。これら二つの同位体には、隣接するサマリウムの同重体が存在するが、ネオジムのビーム強度はサマリウムよりはるかに強く、^<147>Smを用いて十分な補正が可能である。試薬標準物質には、申請者らにより調製されたJNdi-1を、測定の再現性を繰り返しチェックした。 結果:試薬試料は、2試料が高いε^<146>Nd値を、6試料が低いε^<146>Nd値を示した。試薬の純度とε^<146>Ndには相関がなく、ε^<146>Ndの差異が、試薬精製過程などで生じた同位体分別を示すのか、材料物質の違いを反映しているのかは不明である。岩石試料のうち火成岩(6試料)は、それぞれ誤差範囲内で一致した同位体比を示し、その平均はε^<146>Nd=-0.2とJNdi-1よりわずかに低い値となった。高温の反応では同位体分別の効果は無視できると考えられるため、この値はbulk earthのNd同位体比を表しているものと考えられる。岩石標準試料JLs-1(石灰岩)は、火成岩と同様のε^<146>Nd値を示す。一方、岩石標準試料JDo-1(ドロマイト)は、大野・平田(2005)の報告と同様に、ε^<146>Nd=2.1と明らかに重い同位体組成を示すことがわかった。
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Research Products
(1 results)