2005 Fiscal Year Annual Research Report
溶液混合大気圧プラズマによるDNA内包カーボンナノチューブ創製
Project/Area Number |
17654113
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金子 俊郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30312599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 渡 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80312601)
畠山 力三 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00108474)
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Keywords | 溶液混合プラズマ / 大気圧プラズマ / DNA / ナノチューブ / シース電界 |
Research Abstract |
1.DNA内包カーボンナノチューブを創製することを目的として,DNAを分散させた溶液を含む大気圧マイクロプラズマ源を開発した.プラズマ生成法としては,容量結合型の高周波(13.56MHz)グロー放電方式を採用し,溶液を導入する側の電極形状にメッシュ電極を用いている.この結果,溶液の表面張力による影響を低減させ,微小電極間(<1mm)に溶液を導入することが可能となった.また,電極にメッシュを用いることでメッシュを構成するワイヤー上に電場が集中し,プラズマの生成が容易になることも明らかになった. 2.このプラズマ生成に及ぼす影響を小さくするために,溶液として低揮発性である有機溶媒の流動パラフィンを採用し,それをメッシュに含浸させた.その結果,ヘリウムガス中において,低電力(<10W)でかつ安定に溶液混合大気圧グロー放電マイクロプラズマの生成に成功した. 3.液体物質を炭素源としたナノ物質創製への応用として,今回用いたパラフィンは炭素を含んでいるため,ナノカーボン物質形成への利用が期待できる.そのような観点で,流動パラフィン混合大気圧ヘリウムプラズマの発光分光計測を行った結果,プラズマ生成ガスのヘリウムのみならず,有機溶媒のパラフィン由来のものと考えられる炭化水素(CH)及び炭素クラスター(C_2)のスペクトルピークが観測された. 4.流動パラフィン混合大気圧プラズマ生成により電極上およびパラフィン中に煤状物質の形成が確認された.その煤状物質のラマン分光分析を行ったところ,グラファイト構造が形成されていることが明らかとなった.これらの結果は,液体物質からナノカーボン物質を形成できることを示しており,その過程で溶液中のDNA等を取り込み,DNA内包ナノチューブ等をこのプラズマにより形成できる可能性を示唆している.
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