2005 Fiscal Year Annual Research Report
縮退四光波混合による新しい分光法とコヒーレント制御法の開発
Project/Area Number |
17655007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長澤 裕 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (50294161)
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Keywords | 分子ダイナミクス / 超高速分光 / 非線形光学現象 / コヒーレント制御 / フェムト秒レーザー分光 / 縮退四光波混合 / コヒーレント振動分光 / フォトンエコー |
Research Abstract |
当研究室で開発したキャビティダンプ型自己バンド同期Cr : forsteriteレーザーの第二高調波を使用し、色素オキサジン4をドープしたpolyvinyl alcoholのフィルムを10Kに冷却して、縮退四光波混合の測定を行った。その結果、パルス1と3の時間差t_<13>を約50fsに設定すると、t_<13>=0fsの時に比べて、300cm^<-1>付近の振動の振幅が増幅されるということがわかった。このt_<13>=50fsという値は、これらの振動の約半周期に相当し、縮退四光波混合がコヒーレントな分子振動の増幅に応用できることが示された。また、t_<13>を約100fsまで伸ばすと、30cm^<-1>付近に非常に強い低振動モードが現れた。オキサジン4の分子内振動はこのような低波数成分を持たないと考えられるので、ポリマーのフォノンモードであると帰属した。 さらに、密度行列要素の時間発展を考慮したコンピュータシミュレーションを行った。その結果、この増幅効果が低波数で強度の弱い振動にのみ現れることを見出した。ただし、30cm^<-1>付近の低振動モードはフォノンモードそのものの波数を反映していない可能性も示唆され、今後も詳細な研究が必要である。 昔から3パルスフォトンエコーにおいて振動数ωの振動が現われる時、t_<13>を振動周期に同調(in phase、t_<13>=2πn/ω、n=0,1,2,...)させると振動の強度が弱まることがmode suppression効果として知られていたが、今回の結果は逆にt_<13>を振動周期から半周期ずらす(out of phase、t_<13>=2π(n+1/2)/ω)とt_<13>=0fsに比べて強度が強くなることを示すものである。これらの結果はすでに論文として発表した(Y.Nagasawa, et al.,J.Phys.Chem.B109,11946-11952(2005))。
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Research Products
(3 results)