Research Abstract |
本年度は,貴金属ナノ微粒子とその凝集体を中心として,近接場光学像の観察とその解析を行った。その結果,金属ナノ微粒子のプラズモンに関しては,近接場光学像によって波動関数のイメージを得る手法を,確立することができた。 貴金属ナノロッドのプラズモンの内で低い次数のものは,共鳴波長が近赤外域になるので,1.1μmよりも長波長で透過測定を可能とする必要があり,そのための近赤外分光器を購入して,測定系を構築中である。近赤外域での実際の測定は,来年度に行う予定としている。1.1μmよりも短波長で共鳴を起こすプラズモンモードについては,近接場透過測定によるイメージの他,パルス光源を用いた近接場二光子誘起発光をモニターする二光子励起確率像によっても,波動関数の形状が直接イメージングされることを明確に示した。イメージの波長依存性から,プラズモンの分散関係が直接得られ,分散曲線がロッドの直径で決まり,長さによらないことを示した。 金の三角形プレートに関しても,二光子励起確率像によって,プラズモンの波動関数が可視化され,電磁気学的なモデル計算の結果とも一致することを示した。これらの結果から,近接場測定によってプラズモンモードの波動関数のイメージングの方法を確立したと考えている。 球状金ナノ微粒子の凝集構造を作成し,その周囲における電場増強分布のイメージングを,同様の方法によって行った。その結果,得られるイメージが以前からなされていた微粒子凝集構造における電場増強の理論的な予測と一致することを,初めて示した。またこの電場増強効果が表面増強ラマン散乱の主要な起源であることをも明確にした。
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