2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17655012
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 孝紀 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70202132)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 憲秀 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20222268)
河合 英敏 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50322798)
|
Keywords | シクロファン / 分子認識 / 水素結合 / ホストゲスト / 超分子 / テレフタルアミド / 不斉認識 / アドレナリン |
Research Abstract |
申請者は本課題の中で「動的シクロファン」という概念を提案した。これは、外部刺激によってシクロファンの持つ歪みや骨格構造に摂動を与え、それに付随する渡環相互作用の変化やシクロファンに特徴的な物性値変化を応答出力として取り出すというユニークな試みである。本年は特に、応答型レセプター機能を持つシクロファンについての検討を行い、顕著な成果を得た。即ち、分子内に2つのテレフタルアミド骨格を持ち,これらが二組の1,4-ビス(フェニルエチニル)ベンゼン発色団で架橋された大環状シクロファンについての検討を行い、このものが、ゲストの非存在下ではほぼ長方形の構造をとること、また、パラキシレンビス(アンモニウム)型のジトピックゲストとの会合によって、8の字型のねじれ構造に変形し得ることを見いだした。アミド骨格上に不斉点を導入すると、そのねじれ構造はジアステレオマーの関係になるためエネルギー差が生じ、一方のねじれのみが許容となる。これを利用することで、ゲストの不斉認識が可能になることも見いだした。即ち、そのようなキラル置換基を持つホストと、不斉なゲストを錯形成させた時、ゲストのエナンチオマーの一方はねじれ構造への変形を引き起こすが、その鏡像体との錯形成ではホストは長方形の構造のままで変形が誘起されないというものである。そのような異なる挙動は、円二色性スペクトルの違いで容易に検出が可能であり、不斉点の立体化学を含めたセンシングが可能であることを意味する。本化合物で見られた不斉識別は、生体内での動的分子認識機能と深く関わっており、論文発表の際は、イギリス王室化学会発行のChemical Communicationの表紙として採用されるなど、大きな反響を呼んだ。
|