2005 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素三重結合化合物を鍵モノマーとするポリアセチレンケイ素類縁体の創製
Project/Area Number |
17655014
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関口 章 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (90143164)
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Keywords | 高周期14族元素 / 高周期14族元素三重結合 / ジシリン |
Research Abstract |
ケイ素-ケイ素三重結合化合物ジシリンの単独重合によるケイ素π共役ポリマー(ポリジシリン)またはアセチレン類との共重合によるハイブリッドπ共役ポリマーの合成を目指す上で、ジシリンの基本的な反応性を理解すべく、我々が構造解析に成功している安定で単離可能なケイ素-ケイ素三重結合化合物ジシリンと有機小分子との反応性について検討した。立体的に小さいアルコールや二級アミン類との反応では、無触媒でケイ素-ケイ素三重結合への2分子付加が進行し、1,1-ジアルコキシジシラン、1,1-ビス(ジアルキルアミノ)ジシラン誘導体をそれぞれ与えた。また、オレフィン類も無触媒でケイ素-ケイ素三重結合への[2+2]環化付加反応が進行し、ケイ素-ケイ素二重結合を環内に含むジシラシクロブテン誘導体を与えることが明らかになった。また、cis-及びtrans-2-ブテンとの反応で、オレフィンの幾何構造を保持したジシラシクロブテン誘導体が得られたことから、立体特異的に進行することも分かった。理論計算を含めて考察した結旺、トランス折れ曲がり構造を持つケイ素-ケイ素三重結合の蔓内にある非対称最低非占有軌道(LUMO)とオレフィンの最高占有軌道(HOMO)の相互作用により[1+2]付加が起こり、環外に二価ケイ素(シリレン)を持つシラシクロプロパン中間体が生成し、次いで環拡大することによりジシラシクロブテン環が形成されることが明らかになった。 一方、多種多様な高周期14族元素間三重結合の選択的な合成の鍵反応剤となる同一ケイ素上に3つの求核反応点を持つトリリチオシランの発生を検討した。嵩高いトリアルキルシリル基を持つトリブロモシランをTHF中、-78度で過剰の粉末状リチウムと反応させることでトリリチオシランが生成することを、捕捉実験により確認した。
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