2006 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素三重結合化合物を鍵モノマーとするポリアセチレンケイ素類縁体の創製
Project/Area Number |
17655014
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関口 章 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (90143164)
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Keywords | ケイ素-ケイ素三重結合 / ジシリン / ケイ素ポリマー / 環化付加 / ジシラベンゼン / 重合反応 |
Research Abstract |
ケイ素-ケイ素三重結合化合物ジシリンの単独重合によるケイ素π共役ポリマー(ポリジシリン)またはアセチレン類との共重合によるハイブリッドπ共役ポリマーの合成を目指す上で、ジシリンの基本的な反応性としてアルキン類との反応性について検討した。種々のアルキン類との反応を行ったところ、無触媒で末端アルキンと比較的クリーンな反応が進行し、ジシリン1分子、アルキン2分子の[2+2+2]環化付加により1,2-ジシラベンゼンが生成することが明らかとなった。フェニルアセチレンとの反応で得られた1,2-ジシラベンゼン誘導体のNMRデータ及びX線構造解析で決定した分子構造から、1,2-ジシラベンゼンが十分な芳香族性を持つことも示唆された。 ジシリンとアセチレン2分子の形式的[2+2+2]環化付加反応について理論計算を実施した。1分子目のアセチレンの付加は、トランス折れ曲がり構造を持つケイ素-ケイ素三重結合の面内にある非対称最低非占有軌道(LUMO)とアルキンの最高占有軌道(HOM6)の相互作用により[1+2]付加が起こり、環外に二価ケイ素(シリレン)を持つシラシクロプロペン中間体が生成し、次いで環拡大することによりジシラシクロブタジエン環が形成されると考えられた。次いで2分子目のアルキンの[4+2]環化付加により1,2-ジシラデュワーベンゼン、続く原子化異性により最終的に1,2-ジシラベンゼンを生じているものと推定された。
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