2005 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素を炭素源とする触媒的炭素-炭素結合生成反応
Project/Area Number |
17655016
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (40168563)
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Keywords | 二酸化炭素固定化反応 / アリールホウ酸エステル / ロジウム触媒 / カルボン酸 |
Research Abstract |
二酸化炭素を遷移金属錯体を用いて活性化し、有機化合物へ効率良く取り込むことのできる優れた合成反応の開発は、現在の有機合成化学における非常に重要な研究課題の一つである。これまでの研究の多くは化学量論量の遷移金属錯体(特にニッケル錯体)と二酸化炭素分子を用いたメタラサイクルを経由するカルボン酸誘導体の合成、あるいは超臨界二酸化炭素の触媒的水素化によるギ酸誘導体の合成等に限られており、触媒量の金属錯体により炭素-炭素結合生成を伴いつつ効率的に二酸化炭素を取り込んだ例は極めて少ない。このような状況をふまえ本研究では、遷移金属錯体を利用して炭素-炭素結合生成を伴う二酸化炭素固定化の触媒的な手法を開発することを目的に研究を行った。有機ホウ素化合物の遷移金属へのトランスメタル化に着目し、種々の遷移金属触媒の存在下、二酸化炭素との反応を試みた結果、触媒量のロジウム錯体を用いるだけで、アリールホウ酸エステルの二酸化炭素への付加反応が速やかに進行し、対応するカルボン酸を良好な収率で与えることを見出した。さまざまな反応条件の検討を行った結果、配位子としてはdppp、ホウ酸エステルとしては2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールとのエステル化合物を用いると最も良い収率でカルボン酸が得られることを見出した。さらにフェニル基上の置換基について検討を行った結果、電子供与性あるいは電子求引性の置換基が置換していても問題なく反応が進行することがわかった。本反応は1気圧の二酸化炭素雰囲気下でも問題なく進行し、また、触媒量のロジウム錯体を用いるだけで速やかに反応することから、非常に優れた触媒的二酸化炭素固定化反応になるものと考えられる。
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