2005 Fiscal Year Annual Research Report
C-H活性化反応によるポルフィリンの位置選択的直接ホウ素化反応
Project/Area Number |
17655017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大須賀 篤弘 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80127886)
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Keywords | ポルフィリン / C-H活性化 / イリジウム触媒 / 直接ホウ素化 / ポルフィリン2量体 / コロール / ポルフィリン多量体 / ビラジカロイド |
Research Abstract |
北海道大学の宮浦ー石川により開発されたC-H活性化を伴う芳香族分子の直接ホウ素化反応を5,15-ジアリールポルフィリンに適用したところ、非常に高い位置選択性でメゾ位の隣りのベータ位がホウ素化できることを見いだした。このような選択性は、ポルフィリンの置換反応としては類例がない。反応も非常にクリーンに進行し、ポルフィリン基質は全く分解しない。更に反応を続けると同じベータ位4カ所がいずれもホウ素化されたポルフィリンが高収率で合成できることもわかった。この化合物の構造は単結晶X線構造解析により決定した。ホウ素を含む5員環はポルフィリン環とほぼ共平面にあり、パイ共役が広がっていることがわかった。本反応を利用して、ベーターベータ結合ポルフィリン2量体やベーターメゾ結合ポルフィリン2量体の合成も行った。更に本反応を5,10,15-トリアリールコロールに適用したところ、3位で位置選択的なホウ素化反応が91%という高収率で進行することがわかった。生成物の構造決定は、単結晶X線構造解析によりおこなった。コロール基質でこのように高い位置選択性が発現したのも、非常に稀である。更にこのホウ素置換基をオキソンで酸化し、対応する水酸化コロールに変換した。この3-ヒドロキシコロールは、溶媒の極性に依存してエノール体とケト体のいずれの異性体で存在することがわかった。典型的には、クロロホルムや塩化メチレン中ではケト体で存在し、DMSO中でエノール体で存在する。このケトーエノール互変異性に伴い吸収スペクトルや蛍光スペクトルも大きく変化する。更に、ホウ素化コロールに鈴木ー宮浦カップリング反応を適用することで、アントラセンやポルフィリンをコロールに3位に導入できることもわかった。このようにして得られたポルフィリンーコロール直接付加体では、ポルフィリンからコロールへの励起エネルギー移動が進行することも定常状態の蛍光スペクトルの測定により明らかになった。ポルフィリンの側鎖の立体障害のない芳香族性置換基にも同様の直接ホウ素化反応が進行することもわかり、これを基に様々なポルフィリン多量体を短工程で、効率良く合成できることもわかった。
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Research Products
(2 results)