2006 Fiscal Year Annual Research Report
ビナフチル・ペリレンダイマーの単一分子円偏光蛍光計測と光スイッチング
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17655019
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| Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
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Principal Investigator |
河合 壯 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (40221197)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 靖哉 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (80324797)
中嶋 琢也 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (70379543)
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| Keywords | 円偏光蛍光 / 蛍光量子収率 / 励起子相互作用 / 光学活性 / 円二色性 |
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| Research Abstract |
光学活性分子から発せられる蛍光は右円偏光成分と左円偏光成分の強度が異なり、この現象は円偏光性発光(CPL)と呼ばれる。近年、CPLを基盤にした高輝度液晶ディスプレイ用の偏光光源をはじめとして、3次元ディスプレイ、記憶材料、光通信など高度な光情報プロセッシングが提案されており、幅広い応用が期待されている。従来は円偏光蛍光(CPL)測定の標準物質として、円二色性と同じくカンファースルホン酸誘導体やEuなどの希土類錯体の利用が提案されてきたが、蛍光強度が弱い、紫外光励起に限定される、耐久性が低い、水にしか溶けないなどの制限があり実用性の高いCPL標準物質の開発が求められてきた。本研究では、光学活性なフルオロフォアからなる高特性の円偏光性発光材料の開発を行った。
前年度開発されたビナフチルペリレンダイマーは高い蛍光量子収率、高い円二色性をしめし有望である。今年度はCPL非対称性の安定性を評価した。ビナフチルペリレンダイマーは光励起に対して安定性が高いが、長時間の使用に対しては次第に蛍光強度が低下する光劣化が見られる。この蛍光劣化にともなうCPL非対称性の変化を検討した結果、光劣化が進行してもCPL非対称性は変化しないことが見出された。ダイマーの二つのペリレンユニットの片方のみが光劣化した場合には、モノマーと同じように蛍光性は強いがCPL非対称性は有さないことが考えられ、CPL非対称性は低下するものと考えられる。単一分子蛍光計測の結果、ビナフチルペリレンダイマーの光劣化は必ず1段階で進行することが見出された。これは2つあるユニットの片方のみが光劣化する現象はほぼ起こらないことに対応しており、CPL非対称性が高い安定性を有することと良い一致を示す。すなわち、当該ビナフチルペリレンダイマーがCPL標準物質として優れた特性を有していることが結論された。
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