2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17655022
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上野 圭司 群馬大学, 工学部, 教授 (20203458)
|
Keywords | ガリウム錯体 / ガリレン錯体 / 三中心二電子結合 / ガラン錯体 / 鉄 / 不飽和結合 / マンガン / σ錯体 |
Research Abstract |
(1)キヌクリジンが配位して安定化されたガランGaH_3・quinuclidineとマンガンカルボニル錯体Cp*Mn(CO)_3(Cp*=η-C_5Me_5)を含む溶液を光照射したところ、ガランがGa-H結合でマンガンに配位して三中心二電子結合を形成したガラン錯体Cp*Mn(CO)_2(H_3Ga・quinuclidine)(1)が得られた。錯体1の結晶構造解析に成功し,Mn-Ga原子間距離が単結合距離にほぼ等しいことを見いだした。これはMnとGaとの間に強い相互作用があることを示唆している。そこで,分子軌道法計算によって,Mn-H-Gaの結合様式を調べた。その結果,Mn-H結合間には強い共有結合性があり,Ga-H間は強く分極していることが明らかになった。 (2)ガリウム原子が架橋した二核錯体Cp*(dppe)Fe-Ga-Fe(CO)_4(2;Cp*=η-C_5Me_5;dppe=Ph_2PCH_2CH_2PPh_2)およびCp*(dmpe)Fe-Ga-Fe(CO)_4(3;dmpe=Me_2PCH_2CH_2PMe_2)の合成・単離に成功した。これらの錯体の結晶構造解析を行ったところ,3のCp*Fe-Gaは2より短く,逆にGa-Fe(CO)_4は3の方が長いことが明らかになった。3ではdppeがより電子供与性の強いdmpeに置換されている。したがって,Cp*(dmpe)FeからGaへの逆供与が強く,その分,逆にFe(CO)_4フラグメントからGaへの逆供与が減少したと考えられる。赤外吸収スペクトルによる研究結果も,この考え方を支持する結果が得られている。現在これらの錯体の反応性を検討している。
|