2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17655025
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
谷口 彬雄 信州大学, 繊維学部, 教授 (00283242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 結 信州大学, 繊維学部, 助手 (80324242)
坂井 賢一 千歳科学技術大学, 光科学部, 講師 (50342788)
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Keywords | 金属錯体 / レーザ色素 / 有機半導体レーザ |
Research Abstract |
次世代の有機発光ダイオード(OLED)素子として位置付けられる有機半導体レーザ(OSL)の実現に向けて,レーザ活性能をもつ金属錯体の開発は,電界発光の高効率化や電荷キャリアの吸収損失の回避を図る上で重要な課題である.これまでに多くの発光性金属錯体が報告されているが,OSLに適したμsオーダーの発光寿命をもつレーザ色素の報告例は皆無である.本研究では,金属錯体が集積した状態にあるときの発光機構を基盤としてレーザ活性に必要なエネルギー4準位系を作り出し,高効率での発光を実現するための錯体設計指針の確立を目指した.とりわけ本年度は前年度合成に成功した水素結合型亜鉛錯体に焦点を絞って研究を進めた. その錯体は[Zn(Hhpa)_2(OH)_2](Hhpa=3-hydroxylpicolinamide)であり,高い発光量子収率(0.42)を示すが,配位子内や錯体間に存在する水素結合が発光特性の向上に関与することが示唆されていた.本年度,水素結合が無い錯体との発光特性や分子構造の比較,および詳細な分子軌道計算を行った結果,水素結合の存在は,錯体の様々な失活過程を強い発光を与え得るπ^*-π遷移に集約するうえで重要であることが判った.またそのような設計指針を基に更なる物質探索を進め,配位子内に水素結合をもつ新規亜鉛錯体[Zn(Hhqxca)_2(pyridine)_2](Hhqxca=3-hydroxy-2-quinoxalinecarboxylic acid)の開発にも成功した.この錯体の発光性は固体状態より溶液状態の時の方が劣っており,その理由として現在軸配位子であるピリジンの溶液中での脱離を考えている.このように本研究を通して,高発光性の亜鉛錯体を得るためには,配位子内水素結合の導入と軸配位子の選択が重要であるとする設計指針を得ることができた.
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Research Products
(1 results)