2005 Fiscal Year Annual Research Report
塩化ビニル重合体の精密化学変換を目指した鉄触媒反応の開発
Project/Area Number |
17655037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 正治 京都大学, 化学研究所, 教授 (00282723)
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Keywords | 鉄触媒 / クロスカップリング反応 / 有機合成 / 化学資源 / 塩化ビニル / 置換反応 / 有機典型金属化合物 / 元素科学 |
Research Abstract |
本研究は,汎用プラスティックである塩化ビニル重合体の精密化学変換反応を可能とする新規触媒反応系の開発を目指すものである.研究期間内に,まず[1]sp^3炭素-塩素結合の選択的切断/他の有機基への置換を可能とする触媒系の開発および,[2]sp^3炭素-塩素結合の選択的切断/脱塩酸による不飽和結合の導入を可能とする触媒系の開発を行い,最終的には[3]塩化ビニルオリゴマーから高分子重合体へと段階的に前述の触媒反応を適用する.我々が最近発見した鉄触媒によるハロアルカン類と有機金属試薬の交差カップリングを鍵反応として,この塩化ビニル重合体の精密化学変換反応の実現に挑んでいる. 本年度は探索的な検討として,求核反応試剤となる有機典型金属化合物の検討を中心に研究を進めた.以前の検討から,芳香族マグネシウム化合物が良好な結果を与えることが明らかとなっていたが,それに加えて,芳香族亜鉛化合物も適切な条件を選べば,同様に効果的な反応試剤となることが明らかとなった.すなわち触媒量の塩化鉄存在下,配位子としてジアミンであるN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンを有機亜鉛試薬に対して当量以上添加することで選択的な置換反応が高収率で進行する.この際,ルイス酸性を有する金属塩が存在する場合と存在しない場合では,反応性が全く異なるという興味深い現象が見いだされた.ハロゲン化リチウムの存在下では全く進行しない同反応が,ハロゲン化マグネシウムやチタン,アルミニウム存在下ではほぼ定量的に進行するようになる.このような複数金属塩による反応の触媒効果は反応機構的に興味深いことに加えて,さらなる反応制御に向けて重要な指針を与える物である.
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Research Products
(2 results)