2006 Fiscal Year Annual Research Report
塩化ビニル重合体の精密化学変換を目指した鉄触媒反応の開発
Project/Area Number |
17655037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 正治 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (00282723)
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Keywords | 炭素資源 / 炭素-炭素結合生成 / 鉄触媒 / ハロアルカン / ポリ塩化ビニル / クロスカップリング / 表面改質 / 精密有機合成 |
Research Abstract |
本研究は,汎用プラスティックである塩化ビニル重合体の精密化学変換反応を可能とする新規触媒反応系の開発を目指し,研究期間内に,[1]sp3炭素-塩素結合の選択的切断/他の有機基への置換を可能とする触媒系の開発および,[2]sp3炭素-塩素結合の選択的切断/脱塩酸による不飽和結合の導入を可能とする触媒系の開発を行い,最終的には[3]塩化ビニルオリゴマーから高分子重合体へと段階的に前述の触媒反応を適用することを検討した.以下上記三項目に関して研究実績の概要を列記する.[1]我々が最近発見した鉄触媒によるハロアルカン類と有機金属試薬の交差カップリングを鍵反応とすることで,塩化ビニルの化学変換に必須である第二級の塩化アルキルと芳香族マグネシウム反応剤,あるいは芳香族亜鉛反応剤のクロスカップリング反応の開発に成功した.同反応に関しては現在PCT出願を行っている.[2]上記反応において,芳香族金属反応剤の代わりに臭化メチルマグネシウム等の,アルキル金属反応剤を用いることで,カップリング反応ではなく,脱離反応が効率よく進行することが明らかとなった.但し,ポリ塩化アルキルを基質とした場合は,脱離と置換の制御が困難であることが明らかとなった.[3]に関して,ポリ塩化ビニルの部分構造である,2,4位あるいは2,4,6位と炭素一つおきに塩素置換基を導入したポリ塩化アルキルに対して,上記反応条件を適用したところ収率良く置換生成物が得られることが判明した.本成果に関しては現在論文執筆中であるが,概要に関してはその重要性に鑑み,19年度8月に国際学会においてポスター発表を行った.
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Research Products
(3 results)