2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17655038
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
友岡 克彦 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (70207629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井川 和宣 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80401529)
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Keywords | シラノール / 不斉合成 / retro-Brook転位 / 求核置換反応 |
Research Abstract |
キラルシラノールの効率的不斉合成法の開発:キラルシラノール類は多様な変換が可能であることから光学活性有機ケイ素化合物群のキラル合成素子として重要である.本研究では,その効率的不斉合成法の開発について検討した.基質として調製容易なアキラル環状ジアルコキシシランを選択し,これに不斉配位剤(キラルビスオキサゾリン)の共存下アルキルリチウムを作用させたところ,ケイ素への求核置換反応がエナンチオ選択的に進行し,光学活性な置換体が最高80%ee以上の光学純度で得られた.また,本反応の立体選択性発現機構について詳細に検討した結果,求核置換反応がケイ素上立体保持で進行していることを明らかにした.さらにまた,得られた置換体をBirch還元条件に附すことでその光学純度を損なうことなく光学活性シラノールに誘導することにも成功した.本結果はキラルシラノールのエナンチオ選択的不斉合成の最初の成功例である. キラル有機ケイ素化合物の官能基変換法の開発研究:光学活性シラノールの官能基変換法として新規な不斉転位を開発した.すなわち,シラノール由来のアリルシランに対してTHF,HMPA混合溶媒中,強塩基を作用させた後に適切な求電子剤を用いて反応を停止すると,酸素上のケイ素が炭素上へ[1,4]-転位することを,また,この転位がケイ素上の立体化学に関して完璧な立体保持で進行していることを明らかにした.本結果はアリル系[1,4]-retro-Brook転位の最初の例である.本転位で得られる光学活性シランは従来にないキラルなビニルエーテルであり,更なる不斉反応に利用展開出来ると期待される.
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Research Products
(4 results)