2005 Fiscal Year Annual Research Report
ビホスフィンを用いたラジカル反応による新規リン原子導入反応の開発
Project/Area Number |
17655039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (00111922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依光 英樹 京都大学, 工学研究科, 助手 (00372566)
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Keywords | ラジカル反応 / ビホスフィン / 付加反応 / 置換反応 / リン |
Research Abstract |
有機ホスフィンは極めて重要なヘテロ原子含有分子であり、合成中間体、遷移金属配位子、高機能性材料、超分子構造の構成単位など幅広い利用価値を有する。しかしながらその合成には一般に強塩基性条件が必要であり、合成可能な有機ホスフィンは限られている。そのため、より温和な条件下で簡便に有機ホスフィンを合成する方法が求められていた。 研究代表者は容易に入手可能な有機ハロゲン化物を、ラジカル反応を用いてホスフィン化する方法を見いだした。ベンゼン中ヨードベンゼンに対し、クロロジフェニルホスフィン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ピリジン、ラジカル開始剤V-40を加えて加熱還流すると、トリフェニルホスフィンが高収率で得られた。本反応は温和な条件下で進行するというラジカル反応の特性を活かしたものであり、アリロキシカルボニル、ケトン、ハロゲンなど種々の官能基を有する有機ホスフィンを合成することが可能である。またクロロホスフィンとしてクロロジアルキルホスフィンを用いることで、対応するアリールジアルキルホスフィンを得ることもできる。 残念ながら、ハロゲン化アルキルに対して本反応を行っても中程度の収率にとどまってしまう。そこで、アルコールから容易に調製可能で、ラジカル脱炭素化反応にしばしば用いられるimidazole-N-carbothioateを出発物質として用いると、収率良くホスフィン化体を得ることができた。また本反応を用い、立体選択的にホスフィン化を行うことで、光学活性アミノホスフィンを合成することにも成功した。
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Research Products
(3 results)