2005 Fiscal Year Annual Research Report
人工タンパク質による炭酸カルシウム/高分子複合体の構築と構造制御
Project/Area Number |
17655048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 隆史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70214377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守山 雅也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (90334317)
長澤 寛道 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60134508)
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Keywords | 無機 / 有機複合材料 / バイオミネラリゼーション / 自己組織化 / 炭酸カルシウム / 人工タンパク質 / 結晶成長 / 高分子 |
Research Abstract |
生物がつくり出すバイオミネラルは、無機物質と有機高分子が自己組織化プロセスによりナノレベルで複合化したものであり、精緻な構造を有している。これにより、真珠や歯は優れた機械的・光学的性質などの高機能・高性能性を発揮している。これら、真珠や歯のような硬いバイオミネラルに対し、本研究では甲殻類の外骨格のような柔らかく強靭なバイオミネラルに着目し、柔らかいバイオミネラルの構造のエッセンスに倣い、新しいソフトな高分子/無機複合材料を構築することに成功した。 まずアメリカザリガニの外骨格から単離・構造決定された水溶性の角皮タンパク質(CAP-1)を用い、キチンを不溶性マトリクスとして炭酸カルシウムの結晶成長を詳細に検討したところ、CAP-1の添加濃度を制御することで、c軸が同一方向に配向した炭酸カルシウム薄膜結晶(カルサイト)を形成できることを見い出した。また、水溶性添加物をポリアクリル酸、ポリアスパラギン酸にした場合やキトサンをマトリクスとして用いた場合には、これらの一軸配向した薄膜結晶は得られなかった。これらより結晶形成にCAP-1とキチンの特異的な相互作用が重要であることを明らかにした。ここで得られた知見を元に人工タンパク質を合成し、それを用いて炭酸カルシウムの結晶成長を行った。例えば、CAP-1の70残基目のホスホセリンをセリンに換えた組換えタンパク質を合成し、それを用いてキチンマトリクス上で結晶成長を行ったところ、CAP-1を用いて得られる細かい粒状結晶からなる表面とは大きく異なるタイル状結晶が配列した薄膜結晶が得られることが分かった。これらのことから、70残基目のリン酸基が炭酸カルシウム結晶の表面形状に大きく影響していることが分かった。
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Research Products
(3 results)