2006 Fiscal Year Annual Research Report
GPCカラムを新重合反応場とする単分散型高分子合成への挑戦
Project/Area Number |
17655052
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
佐藤 正明 大阪府立大学, 総合教育研究機構, 教授 (70128768)
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Keywords | 分子量 / 重合反応 / GPCカラム / サイズ排除ゲル / 連続フロー法 / 分子量分布 |
Research Abstract |
本研究では、一般に高分子の分子量分布を測定する際に用いるGPCカラム(サイズ排除ゲル浸透クロマトグラフィー)を新しい重合反応の場として用いることにより、分子量分布の狭い高分子を連続フロー法により合成することを目的として研究を行った。 GPCカラム内では、分子量の小さな高分子が遅く、分子量の大きな高分子が速く通過する。従って、GPCカラム内でモノマー溶液を流しながら重合反応を行うと、分子量の小さな高分子の滞留時間は長くなるため、より大きな高分子へと生長するための反応時間が与えられることになる。一方分子量の大きな高分子は速やかに流出されるため、結果として、分子量の定まった(分子量分布の狭い)高分子が得られるものと期待された。 連続フロー法の重合反応場として用いたGPCカラムは、東ソー社製TSK-GEL G2000HHRとTSK-GEL G4000HHR(内径が21.5mm、長さが30cmの分取型カラム)で、排除限界分子量は、それぞれ1万と40万であった。モノマー溶液の送液速度を2.3mL/m、溶液の滞留時間を30分に設定した。まず、ラジカル開始剤を用いるビニルモノマーの均一溶液重合反応を検討したが、重合体はほとんど得られなかった。これはラジカル種がモノマーと衝突するよりも速く、カラム内でのケージ反応により失活しているものと推察された。そこで、次にジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合によるポリアミック酸からポリイミドの合成を検討した。この場合は、上記のカラムを重合反応場とすることによって分子量の制御が認められたが、分子量分布はモノモーダルではなく、3つ以上の極大値を有していた。現在、この原因究明とモノモーダル化への改良検討を続行している。
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