2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17655055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
生駒 忠昭 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (10212804)
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Keywords | 高分子構造・物性 / 光物性 / 分子性固体 / 磁性 / スピンエレクトロニクス |
Research Abstract |
高速かつ携帯できる通信機器の需要が高まる背景のもと分子レベルでの新しい機能の開発が望まれている。そこで、巨大π共役分子系を使った新しい光電子物性を創成するために、本研究はπ架橋網目構造ポリジアセチレンの光励起により巨大な磁気モーメントをもつ可動性中心(キャリア)を分子ワイヤー上に発生させることを目的に行う。巨大スピンキャリアは分子磁石などのミクロ記憶素子間の情報伝達メディアとしての応用が期待されている。 光照射によって発生する巨大スピンキャリアを検出するためには過渡的現象を捉える必要があるので、現有する電子スピン共鳴(ESR)装置に改良を加え、多角励起時間分解ESR装置を組み上げた。ポリジアセチレンを固相重合反応で合成するために、いくつかのジアセチレンモノマーを合成した。また、新規に購入した真空蒸着器を用いて、石英ガラス基板上にモノマージアセチレンの配向膜の作成を試みた。基盤温度依存性や蒸着速度依存性を調べたが、完全配向膜を作成することが出来なかった。今後は、単結晶基盤を用いて分子エピタキシャル成長した配向膜作成に挑戦する予定である。良好な膜は作成できなかったので、溶液から再結晶させてジアセチレンモノマーの単結晶をつくり、熱重合によってポリジアセチレン結晶を準備した。フォークト配置およびファラデー配置下におけるポリジアセチレン結晶の選択的光励起ESR実験を行った。しかしながら、当初目指していたスピンキャリア由来の信号は観測されなかった。組み上げた装置は室温条件でしか実験できないところに問題があると考えられる。今後は、低温実験ができるような装置を組み上げ、キャリア検出を試みる予定である。
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Research Products
(6 results)