2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17655060
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
菊池 純一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (90153056)
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Keywords | 磁性 / 人工細胞膜 / 有機-無機複合体 / 自己組織化 / 超薄膜 / セラソーム |
Research Abstract |
本研究では、外部磁場を制御することで自在なマニピュレーションが可能な、ナノカプセルとしての人工細胞膜を開発することを目的とした。具体的には、申請者らが独自に開発した高強度の人工細胞膜「セラソーム」を用いて、その表面に磁性体をコーティングした「マグネティックセラソーム」を作製し、この特異な磁気特性に基づいて、磁場制御によるマニピュレーションが可能でかつカプセル機能を併せもった新規ナノ材料の開発を目指して研究を行った。本年度に得られた成果は以下のとおりである。 1.「マグネティックセラソーム」を作製するためのセラソーム形成脂質の開発 セラソームに磁性を付与するためのアプローチとして、無機磁性体ナノ粒子をコーティングする方法、無機磁性体薄膜をコーティングする方法、有機磁性体分子を組み込む方法の3つについて検討した。そのために、表面電荷の異なるセラソーム形成脂質や、金属配位部位をもつセラソーム形成脂質などを新たに開発した。 2.「マグネティックセラソーム」を作製するためのベシクル構造の制御 セラソームのベシクル構造を制御するために、従来のセラソーム作製法に改良を加え、ベシクルのサイズは50nmから数μmの範囲で制御できることを明らかにした。また、混合脂質系を用いることでドメイン形成も可能であり、水中のみならず有機溶媒中でも安定なセラソーム作製法も開発した。 3.無機磁性体ナノ粒子をコーティングした「マグネティックセラソーム」の作製 本年度に検討したマグネティックセラソームの作製法の中で、無機磁性体ナノ粒子をコーティングする方法が有効であることを見出した。すなわち、粒径が10nm程度のフェライトナノ粒子を作製し、これを静電的多点相互作用を利用してセラソーム表面に修飾できることを明らかにした。得られたマグネティックセラソームは、溶液中で磁場によりマニピュレートできることもわかった。
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