2005 Fiscal Year Annual Research Report
銅イオン交換ゼオライトによる室温での水素吸着・活性化現象
Project/Area Number |
17655061
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒田 泰重 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (40116455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 雄三 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (30022643)
長尾 眞彦 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (30032816)
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Keywords | 水素吸着 / 水素活性化 / ナノ材料 / 触媒 / 放射光 |
Research Abstract |
我々は銅イオン交換MFI型ゼオライト[CuMFI]中の銅イオンの状態解析の過程で,偶然,窒素がこの物質に室温で吸着される現象を世界で初めて見いだした.この銅イオンの状態解析のために,水素吸着を通した研究を計画した.その研究過程で,再び,室温での水素の特異吸着現象およびH-D交換反応を見出した.本研究では銅イオン交換ゼオライトについて水素の吸着サイトの解析を行い,水素に対して吸着サイトとして働くゼオライト中での銅イオンの構造および電子状態の特徴の解析を行うことを目的とした. CuMFI試料中には,少なくとも二種類のイオン交換サイトが存在することがわかった.今回,一方のサイトに選択的に銅イオンでイオン交換する方法を開発した.この試料は,極めて高い水素吸着特性を有することがわかった.この方法で調製された試料は室温で7cm^3/gの単分子層吸着容量を示した.また,吸着エネルギーは80-40kJ/molと求まった.それらの内で極めて強い吸着サイトが室温でさえ化学吸着サイトとして働き,その水素吸着量2.3cm^3/gの値を与えることもわかった.後者のサイトへ吸着された水素は室温でのH-D交換反応において触媒として作用することも明らかになった.発光スペクトル測定により,一価の銅イオンが水素の吸着サイトであることがわかった.X線吸収スペクトル測定および赤外線吸収スペクトル測定により,これらの吸着サイトはMFI中に形成された一価の銅イオンが二配位および三配位構造を有することを明らかにした.これらの結果は国際会議や国内の触媒討論会で報告した(後者は第96回触媒討論会の注目発表{http://www.shokubai.org/}として採択された).電子状態についても計算法により検討を行っている.現在,さらに,もう一つのイオン交換サイトに選択的に銅イオンをイオン交換する方法も検討中である.
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