2005 Fiscal Year Annual Research Report
フロー式薄層電解セルを用いる支持塩フリー電解システムの開発
Project/Area Number |
17655068
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
跡部 真人 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 講師 (90291351)
|
Keywords | 有機電解合成 / グリーンケミストリー / マイクロリアクター |
Research Abstract |
有機電解合成は、反応剤に電子そのものを使用することで重金属や有害試薬を使わない環境調和型のプロセスとして医農薬や機能性材料などの有用物質を供給できることから、1960年代以降、膨大な基礎研究の知見が蓄積され、その一部は企業化されるなど電気化学の一つの領域として目覚しい発展を遂げてきた。しかしながら、反応溶媒に十分なイオン伝導性を付与するためには、反応基質に対し過剰量の支持塩(一般に反応基質に対し50当量以上)が必要となり、更なるローエミッション化を指向する上でその存在は大きな課題となってきた。 そこで、研究代表者は支持塩をまったく用いない効率的な電解プロセスを実現させるために、以下に示すような諸条件を満たす反応システムの構築を考えた。 1.溶媒や基質との電子移動反応により系中で発生するイオン種を電荷のキャリアーに用いる。 2.陽・陰極の距離をお互いの拡散層(数十〜百mm)が重なる程度にまで縮小し、イオン種の移動を泳動のみならず拡散によっても行えるようにする。これにより、セル抵抗が大幅に低減でき、また、電気二重層が円滑に形成できる。 3.陽・陰極それぞれにおいて発生したイオン種はお互いに反応して、最終的には中性の生成物として取り出す。 4.電解液を流通させ、反応を連続的に行えるようにする。 本年度の研究では実際に上記の条件を満たすフロー型の薄層電解セルを作製し、メタノールを溶媒としたフランの陽極メトキシ化反応(陰極では電荷のキャリアーおよび求核種として作用するメトキシドイオンが生成)を支持塩を加えずに実施したところ、電流密度3mA cm^<-2>、流速0.01mL min^<-1>の時98%の高収率で目的のメトキシ化体が電解液を薄層電解セルに1度流通させただけで得られ、本システムの原理の妥当性が検証された。
|
Research Products
(7 results)