2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17655072
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山本 泰彦 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (00191453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三田 肇 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (00282301)
長友 重紀 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (80373190)
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Keywords | 核酸 / ヘム錯体 / 四重鎖DNA / G-カルテット / 分子認識 / NMR / 機能性核酸 / π-πスタッキング |
Research Abstract |
ヘムを補欠分子族としてもつタンパク質であるヘムタンパク質が生体系において遍在するのに対して、タンパク質同様に重要な生体高分子であるDNA、RNAなど核酸にヘムが組込まれた‘ヘム核酸'と呼ぶべき複合体は生体系ではまだ発見されていない。最近、私共はヘムと平行四重鎖DNAとの錯形成反応によりヘム核酸が生成することを発見した。驚くべきことに、生成したヘム核酸の各種分光スペクトルは、ヘムタンパク質での対応するスペクトルに酷似していた。これらの知見に基づいて、本研究では、核酸が形成する各種高次構造とヘムの複合体形成反応における分子認識の解明、ヘム核酸の熱力学的安定性の解析、およびヘム核酸の機能制御を行い、ヘム核酸の化学を開拓する。 ヘムのポルフィリン環とG-カルテットのπ-πスタッキングがヘム核酸形成における特異性と安定性に大きな寄与を果たすことを複合体のNMRによる詳細な立体構造解析により実証した。ポルフィリン環は四重鎖DNAで形成されるG-カルテットとπ-πスタッキングによる相互作用に都合の良い平面性とサイズをもっていることから、この結果はあらかじめ予想されたことである。そこで、四重鎖DNAにもう一つのヘム結合部位を分子設計して追加した結果、四重鎖DNA1分子に対してヘム2分子が結合する1:2複合体が生成することを初めて見いだした。さらに、イミダゾール誘導体などヘム鉄に対して中程度の配位子場をもつ外部配位子との結合反応の解析から、親和性は配位子の塩基性、立体障害などにより著しい影響を受けることを見いだした。今後は、ヘム核酸におけるヘム周囲の核酸塩基の立体配置を工夫して、ヘム鉄の反応性の調節を試みる予定である。
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Research Products
(12 results)