2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子にコードされた蛋白質を用いた細胞内シグナル伝達の光制御技術の開発
Project/Area Number |
17655073
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
築地 真也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40359659)
|
Keywords | ケージド蛋白質 / Phytochrome B / PIF3 |
Research Abstract |
細胞内シグナル伝達を「光」を用いて、望みのタイミングや望みの場所で活性化あるいは不活性化するための技術は、細胞生物学や細胞工学における強力な研究ツールとなりうる。特に、キナーゼ群によるリン酸化カスケードは多彩な細胞機能の中枢を担っており、細胞内キナーゼの活性状態を光で人為的にオン-オフ制御するための方法論の確立は極めて重要であると考えられる。そのための化学的アプローチとして、光分解性保護基を利用したケージド蛋白質が使用されてきた。しかし、そのケージド蛋白質の合成は決して容易ではなく、またそれを細胞内で応用するためには、マイクロインジェクションなどの熟練した技術が必要になる。そこで本研究では、遺伝子にコードされた蛋白質を用いて、生細胞内キナーゼの活性を時空間的に光制御するための基礎技術の開発を試みる。具体的には、植物シロイヌナズナ由来の光受容蛋白質PhyBおよびその相互作用パートナーPIF3の赤色光依存的な二量体形成を基本原理として利用する。 そこで本年度はまず、1)PhyBとPIF3が動物細胞内で発現されるか?、そして2)赤色光によって二量体を形成するか?の二点について確認を行うことを目標に実験を進めた。PhyBおよびPIF3のさまざまな改変体および緑色蛍光蛋白質(GFP)との融合体の発現プラスミドを作成し、いくつかの細胞株を用いて遺伝子発現を行った。GFP由来の蛍光観察やウエスタンブロッティングなどの実験の結果、これまでに、PIF3の発現は確認できているが、PhyBの発現が全く確認できていない。もともとこれらの蛋白質は植物由来であるため、転写後のスプライシング、コドンの使用頻度、発現後の細胞内安定性の問題などが考えられる。そこで、今後はこれらの可能性について一つずつ検証を進めて行く予定である。
|