2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換法による表面固定型キメラタンパク質の設計と再生医療用ES細胞の増殖制御
Project/Area Number |
17655074
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤池 敏宏 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 教授 (30101207)
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Keywords | マトリックス工学 / ES細胞 / 再生医療 / N-カドヘリン / LIFモデルタンパク質 / LIF固定表面 / E-カドヘリン / 新規のマトリックス分子 |
Research Abstract |
本研究では、細胞の機能を制御する各種分子(増殖因子・接着分子)を、固定化が可能なモデル分子として創成することにより、二次元表面上で細胞の機能を精緻に制御できるマトリックス工学の確立とES細胞を用いた再生医療への応用を目指している。本年度では、様々なモデルタンパク質の設計と機能評価を行った。まず、細胞間接着分子であるカドヘリン分子群に着目し、神経系の細胞や心筋細胞で強い発現が見られるN-カドヘリンのマトリックスとしての利用を試みた。N-カドヘリンの細胞外ドメインとIgGのFc領域の融合タンパク質を作製し、未分化な胚性奇形腫細胞や神経幹細胞の分化誘導に与えるN-カドヘリンの影響を検討した。その結果、固定するN-カドヘリンの密度に応じて、細胞の分化の方向性や生存性に与える効果が変化し、N-カドヘリンを介した細胞間接着の量的変化が細胞の分化に強く影響することが示唆された。N-カドヘリンによる細胞間接着と分化の関係をより深く解析することにより、ES細胞などの幹細胞を用いた再生医療への応用が期待される。また、細胞間接着分子だけではなく、増殖因子の固定化も同様に検討した。マウスES細胞の未分化維持に必須なLIFのモデルタンパク質を作製し、LIFを固定化した表面上での培養を試み、LIF固定表面上でもES細胞の未分化性を維持できることを確認した。これまで我々は、細胞間接着分子であるE-カドヘリンを固定化した表面上ではES細胞を分散した状態で維持できることを報告しており、この方法をさらに発展させるため、LIFとE-カドヘリンの共固定表面を用いた培養系を検討した。その結果、LIFとE-カドヘリンを共固定することにより、マウスES細胞をより効率よく培養できる系の構築に成功した。次年度では、上記の検討をさらに推進するとともに、新規のマトリックス分子の設計と細胞機能制御への応用も検討する。
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Research Products
(7 results)