2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17655076
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上野 隆史 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助手 (70332179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 洋 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00283151)
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Keywords | フェリチン / バイオナノテクノロジー / ナノ微粒子 / X線結晶構造解析 / パラジウム |
Research Abstract |
近年、生体分子の内部空間を利用したナノ微粒子作成技術は、バイオセンサーや電子材料などへの応用が可能なことから、大きな注目を集めている。鉄貯蔵タンパク質であるフェリチンは、24量体からなる球状構造で、外径12nm、内径8nmの空間を有する。我々はこれまでに、フェリチンの内部空間を利用してPd微粒子を作成し、Pd微粒子を触媒としたオレフィン水素化反応を実現してきた。さらに、フェリチン内部に結合する金属イオンの総数によって粒子サイズが決定することが分かったが、金属微粒子の精密なサイズ制御を行うためには、フェリチン内部空間における金属イオン集積過程を詳細に解明する必要がある。そこで、様々な濃度のPdイオンを内部に結合させたフェリチンのX線結晶構造解析によるPdイオン集積過程解明を目指し、フェリチン内部表面にPdイオンが結合する初期段階での結合サイトの決定を試みた。 1μMのアポフェリチン溶液に、50当量のK_2PdCl_4水溶液を加え、30分室温で撹拌してPdイオンをフェリチン内部に集積させた。その後、G-200ゲル濾過カラムによりPdイオン集積フェリチンを精製し、結晶化を行った。Pdイオン集積フェリチンの結晶はCdイオン存在下でのみ得られた。従って、内部にPdイオン、Cdイオンの両者が集積している可能性が示唆された。そのため、異常分散効果を利用したX線結晶構造解析を行い、Pdイオン、Cdイオンの位置決定を試みた。その結果、1サブユニット当たり6か所、つまりフェリチン1分子あたり144か所のPd結合サイトを決定することに成功した。現在、これらの結果を投稿準備中である。
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