2005 Fiscal Year Annual Research Report
溶媒フリー合成法による半導体ナノ粒子の構造制御と大量合成
Project/Area Number |
17655081
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
寺西 利治 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (50262598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金原 正幸 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助手 (40375415)
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Keywords | 溶媒フリー合成法 / 半導体ナノ粒子 / CdSeナノ粒子 / CdSナノ粒子 / 粒径制御 / 発光特性 |
Research Abstract |
可視光領域にバンドギャップを持つ半導体ナノ粒子は、発光ダイオードなどの受光・発光素子として極めて重要な位置にあり、ナノスケールでの構造制御および大量合成技術の開発が切望されている。本研究では、II-VI族半導体ナノ粒子としてCdS,CdSeナノ粒子に焦点を当て、溶媒フリー条件下、金属前駆体および含カルコゲン有機分子の混合物を不活性ガス下で熱処理することにより、II-VI族半導体ナノ粒子の一次構造(粒径、形状)を制御し、大量合成することを目的とした。 CdSeナノ粒子は、ステアリン酸カドミウムのトリオクチルホスフィンオキシド-オレイルアミン溶液を200〜300℃に加熱し、トリブチルホスフィンに溶解させたセレンをインジェクトし合成した。反応温度および反応時間を変化させることで、2〜8.6nmの範囲で粒径制御に成功した。得られたCdSeナノ粒子の結晶構造は閃亜鉛鉱型(立方晶系)であり、粒径変化に伴い発光波長も460〜660nmの範囲でチューニングすることができた。球状粒子では、ナノ粒子表面のダングリングボンドのため発光量子収率は6%程度にとどまったが、低温反応で得られたポッド状粒子は、比較的量子収率の高い(〜10%)シャープな発光を示した。 次に、上記ホットソープ法と比較し反応条件を容易に制御できるCdSナノ粒子合成法の開発を目指した。Cd前駆体としてカドミウムアセチルアセトナト水和物、配位子および溶媒としてオレイルアミンを用いた。合成は窒素雰囲気下、これらを所定の反応温度まで加熱し、トリフェニルメチルメルカプタンを添加後、一定時間攪拌することにより行った。160℃で合成した粒子は比較的単分散であり、バンド端発光と欠陥発光を示した。反応温度の増加に伴い、サイズ分布の広いCdSナノ粒子が得られた。これは、トリフェニルメチルメルカプタンの反応性が比較的高く、アミンによりC-S結合の開裂が促進されているためと考えられる。
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