2005 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属ハライドクラスタの配位子連結型低次元分子アレイの構築
Project/Area Number |
17655096
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
犬丸 啓 広島大学, 大学院工学研究科, 助教授 (80270891)
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Keywords | 超分子 / ナノ構造 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究では、2次元版超分子化学の展開の端緒をつかむことをめざし、遷移金属ハライドクラスタをビルディングブロックに選び、金属やグラファイト表面上で互いに配位結合により連結したクラスタ分子の規則的2次元アレイを構築する。金属ハライドクラスタ(Mo_6Cl_8やNb_6Cl_<12>)は、1nmと比較的大きな無機分子性クラスタでありながら、酸化物クラスタであるヘテロポリアニオンと異なり、1クラスタあたり6箇所の配位子が結合でぎる金属サイトがあるので、まずこの配位サイトにSCN基を連結した(Bu_4N)_2Mo_6Cl_8(SCN)_6を合成した。このチオシアネート配位子は、Au表面に配位吸着し、自己組織化モノレヤーを形成すると期待される。分子線エピタキシーによりマイカ表面に合成した原子レベルでフラットなAu基板にMo_6Cl_8(SCN)_6のジクロロエタン溶液を触れさせた後、X線光電子分光、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型トンネル顕微鏡(STM)により観察した。X線光電子分光装置を用いて表面組成を会席したところ、Mo_6Cl_8(SCN)_6が表面吸着していることが示唆された。表面を観察するため試行錯誤を積み重ねた結果、水中コンタクトAFMによりクラスターの像を得ることができた。クラスター間の距離は約4nmであるが、周期的に配列しているとはいえない。そこで、隣接クラスター間のチオシアネート基を金属イオンを用いて連結することを試みたが、現在のところ、規則配列の観測には成功していない。X線光電子分光によると添加した金属イオンが表面に存在していることが確認できたことから、クラスターのチオシアネート基に結合はしているものの、クラスター間を架橋していない可能性がある。
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