2005 Fiscal Year Annual Research Report
イオン性液体を媒体とするバイオポリマーベシクルの創製
Project/Area Number |
17655101
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君塚 信夫 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (90186304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 玲子 九州大学, 大学院工学府, 教務員 (60380599)
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Keywords | タンパク質 / マイクロカプセル / イオン液 / 界面集積化 / 架橋反応 |
Research Abstract |
本研究は、イオン液体中にマイクロ(ナノ)サイズの水滴を導入し、その界面を利用して生体高分子からなる新しいマイクロ(ナノ)カプセルを作製することを目的とする。本年度は、当初の研究計画に基づいて、以下の研究を遂行した。FITCを修飾した牛血清アルブミン(BSA)を含む水溶液と1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムPF_6(C_4mimPF_6)を混合し、激しく攪拌することにより、イオン液体中にBSAを含むマイクロ水滴を分散させた。蛍光顕微鏡観察により、BSAが水とイオン液体のなす界面に集積化されていることが分かった。次に、このマイクロエマルションを加熱し、タンパク質の熱変性・凝集を利用した、カプセルの安定化について検討した。しかしながら、熱処理を施すのみでは、水中に安定なマイクロカプセルを取り出すことは困難であった。そこで、このマイクロエマルションに、タンパク質の架橋剤としてグルタルアルデヒド水溶液を加え、40℃で30分間反応させた。その後、メタノールにより洗浄し、得られた橙色固体を水中へ分散させた。共焦点レーザー顕微鏡により、直径約10umの中空マイクロ粒子が観察された。タンパク質およびグルタルアルデヒドの濃度、反応時間ならびに反応温度などの実験条件を最適化し、安定なBSAマイクロカプセルが得られる条件を明らかにした。β-ラクトグロブリン、グルコースオキシダーゼおよび各種ヘムタンパク質を用いた場合においても、同様にマイクロカプセルを作製することが可能であり、本手法は極めて一般性の高い手法であることが分かった。今後は、イオン液体中に形成されたマイクロカプセルを、一段階で水中へ逆抽出する手法を開発するとともに、カプセル内への機能性分子(DNAや金属ナノ粒子など)の内包・除放特性について検討する。
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