2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17656003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
折茂 慎一 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (40284129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中森 裕子 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90359539)
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Keywords | ペロブスカイト / 水素化物 / イオン半径 / 高輝度X線回折 / 熱分析 / 原子構造 / 電子構造 / 水素 |
Research Abstract |
カルシウム-ニッケル系やナトリウム-マグネシウム系などのペロブスカイト構造を有する水素化物(ペロブスカイト水素化物)を合成して、それらの構成元素のイオン半径比の観点から水素化物の生成が可能な組成領域やその構造安定性に関する情報を得るとともに、高輝度X線回折測定および最大エントロピー法により原子・電子構造を詳細に解析した。また、それらの構造特性と、水素化・脱水素化特性や電気伝導特性などとの相関も実験的に評価した。主な成果を以下に示す。1)カルシウム-ニッケル系のペロブスカイト水素化物においては、カルシウムはほぼ2価の陽イオンとして存在しているが、ニッケルと水素の電子密度分布は部分的に重なっており、イオン結合性と共有結合性の中間的な結合性であることを明らかにした。これは、熱分析測定において示唆された「水素が関与する結合性の連続的な遷移」と密接に関連している。また、当該水素化物の電気伝導特性などの測定も行い、新機能の発現に直結する重要な知見も得た。2)ナトリウム-マグネシウム系のペロブスカイト水素化物においては、水素陰イオンの2種類の占有サイトに対する金属陽イオンの原子配置が4配位および6配位であることを明らかにした。これは内在する水素陰イオンが2種類の異なる電子構造を有していることを示唆する結果であり、この特異性は水素化・脱水素化特性にも反映されると予測した。実際に、異なる水素圧力で進行する2種類の脱水素化反応が観測された。これらの新たな知見は、今後ペロブスカイト水素化物を機能化する際にきわめて重要な情報となる。
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Research Products
(4 results)