2005 Fiscal Year Annual Research Report
Caged化合物を用いた生物発光のリアルタイムバイオセンサーへの応用
Project/Area Number |
17656004
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田中 正俊 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90130400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 直久 東洋大学, 生命科学部, 教授 (20120355)
関谷 隆夫 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (60211322)
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Keywords | ナノバイオ / 物性実験 / 光物性 / 表面・界面・物性 / 分子認識 |
Research Abstract |
本年度の研究計画の主要部分は、第一に時間分解測定によりホタルルシフェリン-ルシフェラーゼ発光に至る過程を観測すること、第二に発光反応の中間体であるオキシルシフェリンの電子励起状態(Oxyln*)の計算を行うことである。まず、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、Caged ATP、MgSO_4溶液の混合液にNd:YAGレーザーの3倍波(355nm)を照射し、Caged ATPをATPへ転化させて発光の時間分解測定を行った。その結果、最も発光が強いとされているpH7.8の条件下で約5msの立ち上がりと約20msの減衰を捕らえることに成功した。生物発光の時間変化を明らかにしたのは恐らく初めてのことで、画期的な成果である。しかしながら、観測された時間スケールは予想よりかなり長く、想定していた測定系を根本から見直す必要に迫られており現在対策を練っている。一方、電子状態計算においては、Gaussian 98の6-31G*を基底関数とした密度汎関数法とMOS-FのINDO/S法を用いて、Oxylnの1価または2価陰イオンの光吸収スペクトルを求めた。さらにCAChe5.0の半経験的MNDO-PM5法を用いて一重項励起状態のエネルギーを最適化することにより、Oxylnの蛍光スペクトルを求めた。 Caged ATPを半導体基板表面に固定し、光励起によって生成したキャリアによってATPへ転化させることは平成18年度に行う予定であるが、今年度はその準備として基板の探索を行った。第一の候補はバンドギャップが広く光キャリアの寿命が長いTiO_2であり、光励起キャリアの緩和過程について新たな知見を得た。更に精度良くキャリアを供給するにはナノスケールの構造により電子状態を制御する必要があるとの観点から、シリコン表面上のナノ構造を第二の候補として構造形成の第一段階であるサイト選択的吸着ならびにその制御について研究を行い、新たな情報を与えた。
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