2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17656005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 義茂 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (50344437)
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Keywords | 物性実験 / スピンエレクトロニクス |
Research Abstract |
磁性多層膜ナノピラーに大きな電流を集中させると、磁性層間でスピン角運動量が移動するため、電流の向きにより磁化の配列を制御できることが知られている。また、このとき巨大磁気抵抗効果あるいはトンネル磁気抵抗効果を通して電気抵抗も変化する。この現象を二端子素子としてみると一種のダイオード(整流器)と見ることが出来る。しかし、実際には磁気抵抗比が小さいためダイオードとしての特性の非対称性が不十分であり、また、電流電圧特性に磁化反転に伴う大きなヒステレシスを持つためにダイオードとしての応用は困難であった。そこで、我々の研究グループでは、MgOをバリヤとし大きな磁気抵抗効果を示すトンネル磁気抵抗素子を用いることによりまず第一の問題を解決し、さらに、磁気共鳴を利用することにより磁気ヒステレシスに影響されずに整流作用を示すダイオードをまず開発し「スピントルクダイオード」と名づけた。 このダイオードの動作特性を解析した結果、理論上負性抵抗が得られることを見出した。さらに、この特徴を生かした3端子素子を作製することにより増幅作用が可能であることを実験に基づく具体的な素子特性を用いた解析により証明した。具体的な素子作成のために磁壁を用いた素子構造を提案し、実際にナノワイヤーを強磁性多層膜から切り出し、巨大磁気抵抗効果を示すことを確認した。以上の研究から、増幅度を持つスピントランジスタの設計法が明らかとなり、さらに作製法にもめどを付けることができた。従って、以上の成果により当初の目的を達したといえる。今後の研究により実際にスピントルクトランジスタが実現するものと考えられる。
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Research Products
(3 results)