2006 Fiscal Year Annual Research Report
リチウムイオン伝導体としてのスピン・オン・グラス:陰イオン添加による伝導度促進
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17656007
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
栗山 一男 法政大学, 工学部, 教授 (20125082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
串田 一雅 大阪教育大学, 教育学部, 助手 (80372639)
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Keywords | リチウムイオン伝導体 / スピン・オン・グラス / LiPF_6添加 / Li_3PO_4添加 / 原子間力顕微鏡 / リチウム三元化合物 |
Research Abstract |
本年度は下記の2点について研究を実施した。 1)シリコン基板上へのスピン・オン・グラス膜の形成 シリコンVLSIプロセスに多用されているスピン・オン・グラス(SOG)に10wt.%Li_3PO_4あるいは10wt.%LiPF_6を添加後十分撹拌し、塗布液を作成した。前者はSOG液に完全に溶解しなかったが、後者は完全に溶解した。導電性のポリシリコンを堆積したシリコン基板上に、これらの溶液をスピンコーティング法により4000rpmの回転数、10秒で塗布後、窒素フロー下550℃、1分間の熱処理でSOG薄膜を作成した。 2)原子間力顕微鏡(AFM)を用いた電流導通下の表面構造評価 導電性AFMプローブ側へ電流が流れ込むようにSOG薄膜をAFMに装着し、同時にSOG膜間の電圧と6×6μm^2の領域の表面構造を観測した。AFMの2画像スキャン時間(4分)当たり5pAの割合で電流値を増加させた。LiPF_6あるいはLi_3PO_4を添加したSOG膜間の電圧が15Vを超えたあたりから"うろこ状"の表面構造の粒界周辺部が隆起しはじめ、粒界にリチウムイオンが析出していることが考えられる。30pAの電流値で誘起された35Vの電圧は、電流導通を止めた後、指数関数的に減少し、3時間ほどでOVに達した。これは、SOG膜表面付近に拡散してきたリチウムイオンが膜内に均一に再分布するのに要する時間であると考えられる。未添加のSOG膜ではこのような挙動は観測されず、これらの結果からリチウムイオンの粒界を介したイオン伝導が示唆される。また、Li_3GaN_2およびLi_3AlN_2などを合成しバンドギャップ値などを明らかにしたが、これらの化合物を添加したSOG膜を用いた特性評価は今後の課題として残された。
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Research Products
(5 results)