2005 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧プラズマジェットによる針状シリコン結晶の作製と成長機構の解明
Project/Area Number |
17656012
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
白井 肇 埼玉大学, 工学部, 助教授 (30206271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 靖洋 埼玉大学, 理工学研究科, 助手 (60334158)
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Keywords | 大気圧マイクロプラズマジェット / シリコンナノコーン / 成長機構 / 金属コートシリコン / ナノ構造 / 電界放出特性 / 局所短時間加熱 |
Research Abstract |
本研究は、大気圧マイクロ熱プラズマジェットを局所領域に生成し、シリコン・炭素系ナノ構造形成へ応用した。特に短時間局所加熱による溶融状態から冷却過程を利用した表面改質に基づいた物性造制御を目指し、針状シリコンナノ結晶(SNC),ナノチューブ(CNT)等シリコン・炭素系ナノ構造形成への応用を通して、発光素子への展開とその形成機構解明を目的とした。具体的には、内径700μmのタングステン製筒をカソード電極として、整合回路を通して、RF(13.56MHz)高周波電力を印加し、電極先端に大気圧マイクロプラズマジェットを生成した。Arプラズマの定常流にメタン(CH_4)を外部から独立に供給することで、Feコート結晶Si基板上の電極直下400μm領域に針状生成物の成長を確認した。またその周囲(B領域)には、ナノワイヤー状生成物、カーボンナノチューブ(CNT)成長が見られた。組成の面内分布を評価した結果CH_4/ArプラズマにもかかわらずFeおよびC(炭素)はEDXの検出限界以下であった。さらにA, B領域のTEM観察から、A領域の生成物は、ナノ結晶Siを内包するシリコン酸化物であったことから、針状Siナノ結晶(SNC)と命名した。一方B領域には、SNW,多層CNTが存在することがわかった。これらのFeコートn^+、p^+シリコン基板上に形成したSNCの電界放出特性を評価した結果、1μmの電極間隔において800V以上の電圧印加条件でトンネル電流による電界放出特性を確認した。またチャンネルプレートを設置した超高真空下で電界放出による像を観測した結果、均一に点滅していることがわかった。さらに発光特性をフォトルミネッセンス(PL)計測した結果500-700nm領域に強い可視発光を示すことがわかった。そこでこれらのSNC形成機構を金属、RF電力、Ar・CH_4流量を変化させて考察した。同時にプラズマ照射領域の表面温度を高分解サーモグラフで評価し、反射率・コンダクタンスの実時間その場計測から、反応機構の解析をおこなった。その結果2-5m秒の時定数で表面温度が上昇し、且つ数10m秒の時定数で金属とシリコンがシリサイドクラスター形成していることがわかった。以上の結果から局所短時間加熱によるFeSi_xナノクラスターをマスクとして、Siの体積膨張に基づいたSNC成長モデルを提案した。
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