2005 Fiscal Year Annual Research Report
Ge/Si(001)表面上超高集積1次元量子井戸列のシュタルクラダーの実現
Project/Area Number |
17656013
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平山 博之 東京工業大学, 大学総合理工学研究科, 助教授 (60271582)
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Keywords | 量子井戸 / 超高集積 / ゲルマニウム / シリコン / シュタルク効果 / シュタルクラダー |
Research Abstract |
本研究はSi(001)表面上に1〜2原子層(ML)のGe層をエピタキシャル成長させた場合にその成長表面に現れる、IV族(001)表面特有の1次元ダイマー列が、Ge/Siのmisfit歪み解消のために現れたダイマー欠損列(DVL)によって周期的によぎられることにより発生する、長さ〜3nmのダイマー列セグメントが稠密に並んだ構造の1次元量子井戸配列としての利用を目指すものである。 Ge/Si(001)表面電子状態のバンド分散は、占有状態についてはYoemらの光電子分光による研究があり、分散は清浄なSi(001)表面とほぼ同じであることが報告されている。しかし量子閉じ込めに利用するダイマー列上を自由に移動する1次元電子の分散関係、すなわちempty stateにおけるDdown*状態のバンド分散関係に関する知見はこれまで全く報告されてこなかった。このバンド分散関係やそれから決まる電子の有効質量は本研究テーマとなる1次元量子井戸系の電子状態設計に不可欠な重要な情報である。そこで本年度は低温での走査トンネル顕微鏡(STM)観察、およびSTMをベースとしたdI/dV像観察によりこの表面の各ダイマー列セグメント中に発生するn=1〜3量子準位のエネルギー位置と波動関数自乗振幅の直接空間分布観測を通し、この表面のDdown*状態のバンド分散関係を確立した。実験ではGe膜厚を1〜2MLの範囲内で変化させた試料を準備し、Ge膜厚に応じて現れる長さ8-15原子のダイマー列セグメントに対して、STM,STS測定を低温で行った。この時、セグメントの長さに応じて様々なバイアス電圧でn=1-3の量子準位に相当する波動関数自乗振幅の空間パターンを観測し、その波長とバイアス電圧の関係から実験により1Ge/Si(001)表面のDdown*状態のバンド分散を決定した。得られたバンドは清浄なSi(001)表面とほぼ同じ分散関係をしめし、Ramstadtらの理論計算を支持するものであった。
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