2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ結晶をドープしたカーボン薄膜の微視的構造と電気的・機械的性質の研究
Project/Area Number |
17656017
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
梅村 茂 千葉工業大学, 工学部, 教授 (70316800)
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Keywords | カーボン薄膜 / 金属ドープ / RFスパッタ / ナノ結晶 / 電気伝導度 / 耐摩耗性 / AFM / 非晶質半導体 |
Research Abstract |
カーボンマトリクス中に各種の貴金属および遷移金属のナノ結晶を分散させることによって,新たな機能性薄膜の創出をねらい,RFスパッタ装置を用いて,金,銀,白金,コバルト,ニッケルをドープさせたカーボン薄膜を形成し,各種特性の評価より,以下の結果を得た. (1)薄膜中の金属ドープ濃度:RFスパッタ装置内のカーボンターゲットとその上に置いた金属ペレットの面積,および金属とカーボンのスパッタ率から膜中の金属ドープ濃度を推定した.この推定値とオージェ電子分光分析によって実測した金属ドープ濃度を比較した結果,金属ドープ濃度の実測値と推定値はほぼ比例関係にあり,実測値対推定値のおおよその比率は,0.4倍から1.5倍と金属ごとでかなり差があることを見出した. (2)薄膜の電気伝導特性:形成した金属ドープ薄膜のドープ濃度の最大値は個々の金属によって異なるが,12at.%から30at.%の範囲であった.この濃度範囲では,各金属ドープ薄膜の室温における電気伝導度はドープ濃度の増加に伴って増加した.また,各金属ドープ薄膜の電気伝導後の増加割合は,ノンドープカーボン膜の電気伝導度に比べて1桁の範囲内であった.さらに,各金属ドープ薄膜およびノンドープカーボン薄膜の電気伝導後の温度依存性を測定した結果,大半の薄膜は約80Kから約200Kないし約250Kの範囲で電気伝導度はほぼ一定であり,室温近辺で電気伝導度は温度の上昇にしたがって急激に増加するという,非晶質半導体と同様な電気伝導度の温度依存性を示すことを見出した. (3)薄膜の機械的特性:各金属ドープカーボン薄膜の耐摩耗性をAFMによるナノレベルでのスクラッチ法で評価した.その結果、金属ドープ濃度が約10at.%までの範囲であれば、膜の耐摩耗性はノンドープカーボン薄膜とほぼ同等であり、ドープ濃度がそれ以上になると,膜の耐摩耗性は急激に劣化することを見出した.
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