2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17656025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北原 英明 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 研究員 (20397649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 正彦 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 助教授 (00346181)
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Keywords | テラヘルツ時間領域分光 / 分子分光 / 香料 |
Research Abstract |
食品や香料などの匂い分子の検出をTHz時間領域分光法により行うのが最終的な目的である。本年度は分光器の構築ならびに試験的な分子測定を行った。 1.分光器の構築 基本的なシステムの構築を行うため、分光器の構成はTHz光学系に軸外し凹面鏡を2枚用いた典型的なTHz時間領域分光システムを選択した。放射器および検出器に用いた光伝導アンテナは上限周波数を高く取るためダイポール型を選択した。励起用レーザーは波長800nm、繰返し周波数80MHz、パルス幅100fsのチタンサファイアレーザーを用いた。吸収セル付の真空槽内に系を収め、真空引きにはドライ真空ポンプを用いて測定系に存在する水蒸気の影響を排除できるようにした。到達圧力は最小で1.4paである。吸収セルのポリエチレン窓が持つ吸収帯により2THz以上が利用できないため、結果的に分光可能な帯域は0.05THz〜2THzとなった。プローブ光の遅延ラインは300mmの自動ステージを用いた。現状において遅延距離は600mm(周波数分解能500MHz)である。 2.分子分光の実験 装置の性能を調べるため、先ず水とメタノールの分光を行った。吸収セル内の圧力を十分に下げた(4pa以下)後、常温(21℃)でサンプルを飽和圧に達するまで吸収セル内に導入した。測定時の吸収セル内圧は水が5kpaで、メタノールが12.5kpaであった。この結果、分光可能な帯域内において其々の物質の吸収線が観測された。過去にこれらの分子に対して行われた分光結果と比較したところ良い一致を見た。同様な方法で市販のコーヒー粉からの放出気体を測定したところ、水の吸収線以外に由来不明の二つの吸収線を観測した。しかし、この吸収線がコーヒーを特定する"指紋"となるかどうかは不明である。 3.今後の予定 来期は更に分光器を改善し、検出感度を増強した上で、様々な匂い分子の分光を行う予定である。 以上
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