2005 Fiscal Year Annual Research Report
多官能フォトクロミック化合物による高密度マルチアドレスシステムの創成
Project/Area Number |
17656031
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上田 裕清 神戸大学, 工学部, 教授 (40116190)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小柴 康子 神戸大学, 工学部, 教務職員 (70243326)
|
Keywords | スピロピラン / アゾベンゼン / マルチフォトクロミズム / 光スイッチング / マルチアドレスシステム |
Research Abstract |
1つの分子中に複数のフォトクロミック部位を導入した新規化合物による多重記録媒体の創成とマルチアドレスシステムの構築を目的として、スピロピラン(Sp)とアゾベンゼン(Az)をカップリング反応させて新規フォトクロミック色素(SpAz)を合成した。SpAzは、基底状態ではSpの閉環型とAzのトランス型による構造をとった。SpAzのフォトクロミック挙動は、SpとAz間に導入するスペーサ鎖の鎖長に依存していた。最適化した分子をアセトンに溶解し、365nmの紫外光を照射すると、アゾベンゼン骨格のみがシス型に異性化して450nm付近の吸収ピーク強度が増加した。一方、254nmの紫外光を照射するとスピロピラン骨格はメロシアニン骨格に異性化し、620nm付近に新たな吸収ピークが現れた。254nmと365nmの紫外光の同時照射によっては、Sp(開環)-Az(トランス)型のコンフォメーションも単離可能で、単一分子での2×2=4種類の信号の取り出しに成功した。また、SpAzを高分子中に分散させて作製した膜中でも溶液中と同様の挙動を示した。さらに、SpAzの発光挙動について測定した結果、それぞれの光異性体から異なる蛍光が観測され、SpAzがスイッチング分子として動作することを見いだした。 今回合成した新規フォトクロミック色素は、有機化合物による光制御や光記録への新たな展開に関して高いポテンシャルを持つことが示された。
|
Research Products
(2 results)