2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ・スケール気体流に対する新しい流体力学的モデルの構築
Project/Area Number |
17656033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 一生 京都大学, 工学研究科, 教授 (10115777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 滋 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60271011)
小菅 真吾 京都大学, 工学研究科, 助手 (40335188)
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Keywords | 国際情報交換 / フランス:中国 / マイクロ・ナノ流体力学 / ボルツマン方程式 / 気体分子運動論 / 均質化法 / 拡散型モデル / クヌーセン・ポンプ |
Research Abstract |
1.ナノ・スケール流路における気体分子の表面拡散に対する流体力学的モデルの導出 近年のマイクロ・ナノテクノロジーの急速な発展に伴い,気体分子の表面拡散やナノスケールあるいはそれ以下の超微細構造内での気体分子の流れの解明がその重要性を増している.本研究では,壁面に沿った周期的なポテンシャルを仮定し,気体分子と固体フォノンの相互作用をボルツマン型の衝突積分で表した運動論的モデルを出発点とし,このような分子流に対する拡散型モデルを系統的に導出する研究を行っている. 方程式の解をポテンシャルの周期に相当する短いスケールと,巨視量の大域的変化を記述する長いスケールの変数で表す多重スケール法(均質化法)を用いることにより,気体の密度分布に対する拡散型の方程式を導出した.とくに平成18年度には,壁面に沿う温度変化や気体分子同士の衝突の効果を取り入れた拡散型モデルを導いた. 2.流路の形状変化・温度変化を利用したマイクロポンプの研究 マイクロスケールにおける気体では,流路壁に沿って空間的温度変化があると気体の流れが起こる(熱ほふく流).この現象を利用した非機械式マイクロポンプ(クヌーセン型ポンプ)の研究を平成17年度に引き続いて行った.このポンプは通常,流路の周期的断面積変化と周期的温度変化を利用して一方向流れを起こすものであるが,平成18年度には,流路の断面積変化の変わりに曲率変化を利用した新しい型のクヌーセン型ポンプ(平成17年度に提案)についての研究に重点を置いた.具体的には,二種類の数値解法(モンテカルロ法による確率論的解法と有限体積法による決定論的解法)によるボルツマン方程式の大規模な直接的数値解析を行い,このようなポンプの実現可能性を実証した.また,流路幅が流路に沿う温度変化や曲率変化に比べて小さいとして,ボルツマン方程式の系統的漸近解析を行い,流路に沿っての圧力(あるいは密度)変化を記述する移流拡散型の方程式を導いた.
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Research Products
(2 results)