2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子鎖ネットワークモデルによる高分子材料特性の力学場連成解析法の開発
Project/Area Number |
17656038
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岸本 喜久雄 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (30111652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大宮 正毅 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30302938)
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Keywords | 高分子 / 計算力学 / ネットワークモデル / セル・オートマトン / 素視化分子動力学 / 分子鎖 / 高次構造 / メゾスケール |
Research Abstract |
本研究では,高分子材料を分子鎖の集合体として捉えたメゾスコピックレベルにおける材料特性解析モデル,すなわち,「分子鎖ネットワークモデル」に基づく材料特性の力学場連成解析手法を開発することを目的とする.そのために,まず,分子鎖ネットワークの生成法について検討を行い,つぎに,分子鎖間のすべり,分子鎖の破断を考慮した力学解析法ならびに電気特性や光学特性などの材料特性の解析法について検討を行い,高分子材料の力学場によってもたらされる高次構造の変化と材料特性の関係を明らかにすることを目指す. 本年度は2次元ネットワークモデルの構築を目標とし,以下の点について検討した. (1)分子鎖ネットワークの生成法について検討を行った.複雑なパターン形成のアルゴリズムとして着目されているセル・オートマトンの手法等を応用して,2次元分子鎖ネットワークモデルを生成するアルゴリズムの構築を行った. (2)分子鎖端の重合反応過程を考慮したアルゴリズムを考案し,実在の材料の高次構造に対応したネットワークモデルを生成できるようにした.その際,分子鎖間の架橋等を考慮したモデルの構築も行った. (3)生成されたネットワークモデルに外力が作用する場合の変形状態を解析するための計算プログラムを作成した.その際,分子鎖間のすべり,ファンデルワールに相互作用,さらに分子鎖の切断を考慮した. (4)作成したプログラムを用いて,数平均分子量の異なる種々のネットワークモデルに対して引張負荷を与えた解析を行い,数平均分子量と引張強度との関係について実験結果と定性的に一致する結果が得られた. (5)紫外線劣化を想定したセグメントをランダムに削除したモデルの解析より,紫外線照射時間と破断ひずみとの関係について実験結果と定性的に一致した結果が得られた.
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