2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ変形特性評価による環境ぜい化機構解明と限界強度特性評価法の開発
Project/Area Number |
17656042
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
箕島 弘二 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50174107)
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Keywords | 環境ぜい化 / 水素ぜい化 / 環境強度 / 破壊 / ナノ変形 / 高強度材料 |
Research Abstract |
高強度材料は環境に敏感であり,材料中に水素が吸蔵されることにより水素ぜい化を生じることが問題となっている。したがって,実使用環境中における安全性を確保し,しかも延性・じん性を改善し実用に耐えうる材料を開発するためには,吸蔵水素の変形・破壊特性に及ぼす影響を明らかにするとともに,吸蔵水素量とぜい化特性を関連づけて限界使用条件を明らかにすることが不可欠である。本研究では構造材料のナノ変形特性に着目して,高強度鋼やAl合金の強化機構発現の最小ユニットであるnmオーダの局所領域におけるナノ変形特性を精密に実測することにより,材料固有の降伏,塑性変形特性に及ぼす吸蔵水素量の影響を明らかにする。今年度は,典型的な焼き戻しマルテンサイト組織を有する高強度鋼を対象として,平滑な試料表面を得るための研磨方法と電解研磨の最適化を図り,十分な精度でナノ変形特性が測定可能となることを確認した。さらに電気化学的水素拡散速度・水素溶解量測定法,および昇温脱離分析法により,水素吸蔵特性と拡散特性に関する知見を得た。さらに,これらの高強度鋼のナノ変形特性を水素吸蔵させていない処女材,水素吸蔵させた試料に対して実測し,これより水素を吸蔵することによりナノ変形特性に影響を与えること,また,真空中で水素を十分に放出させることによりナノ変形特性は処女材と同一になることを確認した。さらに,水素吸蔵量を変化させた試料に対してナノ変形特性を測定中であり,水素吸蔵量のナノ変形特性に及ぼす影響について検討を加えつつある。
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