2006 Fiscal Year Annual Research Report
ストライエーションが観察されない疲労破面の応力推定法
Project/Area Number |
17656043
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 良之 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (90325499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 祐信 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (50284534)
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Keywords | 金属疲労 / 作用応力推定 / 疲労事故解析 / 非破壊 / オーステナイト系ステンレス鋼 / 破面インピーダンス / 疲労破面硬さ |
Research Abstract |
機械・構造物の疲労破壊事故解析では,作用応力の推定が必要である.疲労破面から作用応力を推定する方法として確立されているストライエーション間隔を利用する方法は限られたK値範囲しか利用できないので,新しい作用応力推定方法の開発が必要である.破壊した部品は破壊事故の重要な証拠であり,非破壊で推定できることも必要である.本研究では,疲労破面の電気抵抗(インピーダンス)と硬さを利用した,2種類の作用応力推定方法について検討した. 前年度には,疲労破面のインピーダンスを利用した推定方法について,R=0.1一定の条件で得た疲労破面において,ΔKが増加するにつれて疲労破面のインピーダンスも増加することを明らかにした.本年度は,K_<max>を一定としてき裂成長に伴いΔKを漸減させた疲労破面において,この推定方法を適用した.また,もう一つの方法として,疲労破面硬さを利用した推定法の検討に着手した.それらの結果を以下に示す. 供試材はSUS304溶体化処理材である.既知のK値履歴の試験片をつくるために,CT試験片を用いて疲労き裂進展試験を実施した. K_<max>を一定としてき裂成長に伴いΔKを漸減させた疲労破面における測定結果について,R=0.1の結果と同様にΔKが増加するとともに破面のインピーダンスZ/Z_0も増加する傾向が見られた.相関係数は0.81であり,正の相関が見られる.この実験のき裂進展試験における一方向塑性域深さは約200〜600μm,繰返し塑性域深さは約20〜80μmと推定され,また,周波数23MHzの高周波電流の表皮深さは約30μmであり,電流は繰返し塑性域の中を流れていると考えられる.その結果として本研究の方法で測定した疲労破面のインピーダンスは,繰返し塑性域内で生じた抵抗変化を測定しており,ΔKの変化が反映されたものと考えられる. R=0.1一定の疲労破面において,硬さ測定を行った.押付け荷重は0.49Nとし,ビッカース圧痕の四隅を繋いだ四角形の面積をこの場合の硬さとして定義した.ΔKが増加するにつれて圧痕面積は減少した.これはΔKが増加するにつれて疲労破面の硬さが増加していることを示しており,これを利用した作用応力推定が可能であることを示している.ひき続き,K_<max>を一定条件下の測定を実施し,疲労破面硬さを支配する力学量がK_<max>,ΔKいずれによるものか調べる予定である.
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