2005 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロスケール空間における臨界点近傍流体の特異なメカニズムの解明
Project/Area Number |
17656062
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 悟 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (90192799)
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Keywords | 数値解法 / 超臨界流体 / 臨界点近傍 / 二酸化炭素 / 前処理法 / マイクロスケール / Peng-Robinson EOS / PROPATH |
Research Abstract |
本研究は、J.Comp.Phys.,2005に発表した前処理型流束分離スキームに基づく圧縮性・非圧縮性流れの数値解法を基に、超臨界流体を計算するための計算アルゴリズムを付加することで、新たに超臨界流体の数値解法を構築するところから始まった。まずは、van der Waals状態方程式を改良した三次方程式型状態方程式であるPeng-Robinson状態方程式に基づく計算コードが構築された。これを用いて、超臨界二酸化炭素の熱流体の数値計算を行った結果、常温・常圧状態の熱流体では見られない、熱物性値の特異性を計算により捕獲できることが確認された。中でも、臨界点近傍においては、超低速な熱流体であるにも関わらず、超臨界二酸化炭素は密度場が大きく変動する圧縮性流れであることが計算により明らかになった。本研究の成果は、JSME Int.Journalに発表した。その後、熱物性データベースである、PROPATHを新たに導入することにより、より広範囲の超臨界流体が数値計算できるようになった。本計算コードを用いて、高さ1mm以下の二次元閉空間内に高圧で注入された超臨界二酸化炭素中のRayleigh-Benard対流を数値計算した。その結果、臨界点近傍温度に冷やされて形成された高密度流体は、密度変化を伴う下降流を発生させて、結果的に通常知られているRayleigh-Benard対流にはない極めて不安定な熱対流を形成することが示された。この研究成果は、ベルギーで開催される第3回数値流体国際会議、ならびに、8月仙台、11月京都で開催される超臨界流体に関する国際会議で発表する予定である。
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