2005 Fiscal Year Annual Research Report
in vitro血管壁損傷評価システム開発と動脈瘤発症メカニズムの生体力学的検討
Project/Area Number |
17656064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 まり 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40242127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 貴富貴 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20322688)
山本 創太 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (80293653)
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Keywords | 細胞・組織 / 脳動脈瘤 / 血管壁損傷 / せん断応力 / 力学的刺激 / 内皮細胞 / 血管損傷評価システム |
Research Abstract |
本研究は、流れによる壁面せん断応力が血管壁に与える損傷を定量的に評価する試験システムを開発し、血流による壁面せん断応力と動脈瘤発症との因果関係を解明することを目的としており、本年度はその準備段階として、1)血管内面の観察方法および血管損傷評価手法の検討、2)高せん断流れ負荷培養システムの開発、を行った。 1)では、血管組織は不透明であるため、円筒形状を切開し実体蛍光顕微鏡によって観察する手法を採用した。また組織の染色試薬は細胞の核を染色し、かつ生細胞に対して毒性の弱いSYTOやHoechstが適当であると考えられた。観察対象となる内皮細胞、内弾性板、平滑筋細胞の判別は、それぞれの配向および形状から可能なことも確認された。予想される血管内面の損傷としては、内皮細胞の剥離、内弾性板の拡張、平滑筋組織の欠損が挙げられる。定量的な評価手法について検討したところ、内皮細胞と平滑筋細胞に関しては、観察領域の単位面積あたりの個数と、細胞の配向や形状を示す縦横比を計測し、各領域における平均値と標準誤差を用いて評価する。内弾性板に関してはその凹凸やくぼみに着目し、大きさや形状の変化の計測を行うこととした。 2)については、血管組織へ流体力を負荷するために、チップ上に半円形の溝を彫り、そこに切開した血管試料を取り付けて流路を作成し、流れ負荷を加える形状とした。また同時に血管外面も培養液に浸し、さらに任意の時点での観察ができる構造としている。流れの駆動には流量と圧力を精度良く制御できる定量ポンプを用い、流路系にヘッドもしくは圧力制御弁を配置し、定量的に圧力を設定できるようにする。血管内面上の壁面せん断応力は直接計測することは困難であるため、流量と流路の断面積から算出する。 今後は、実験装置を組み立てた後、壁面せん断応力や圧力、経過時間などに対する血管組織の変性・損傷を観察し、定量的な評価を行う。
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