2006 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブの伝熱に関する分子動力学法シミュレーション
Project/Area Number |
17656072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 茂夫 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (90209700)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 分子動力学法 / 熱伝導 / 界面熱抵抗 / 伝熱 |
Research Abstract |
常温における単層カーボンナノチューブの熱伝導をTersoff-Brenner型の炭素原子間ポテンシャルを用いた分子動力学法によって計算した.従来の計算では,短いナノチューブに周期境界条件を課して無限長のナノナノチューブを模擬し,様々な手法による漸近特性によって熱伝導率を求めていた.それに対し,本研究ではカーボンナノチューブの両端に熱浴を設置し,非平衡分子動力学シミュレーションを行うことで,有限長の単層カーボンナノチューブの熱伝導を解析した.幅広い長さ範囲に渡り熱伝導計算を行うことによって,弾道的熱伝導から拡散・弾道的熱伝導への遷移過程を捉えることに成功し,単層カーボンナノチューブの応用上非常に重要となる熱伝導の長さ依存性の詳細を明らかにした.また,単層カーボンナノチューブと曲率のないグラフェンシートの熱伝導率の長さ依存性を比較することにより,フォノン状態密度の弾道的熱伝導及び拡散熱伝導への寄与を明らかにした.さらに,熱伝導率のナノチューブ直径依存性を計算することで,異なる直径におけるフォノン散乱による拡散効果の役割を議論した. また,単層カーボンナノチューブの非定常熱伝導の計算を,フェムトレーザーによる加熱を想定して行った.フェムトからピコ秒程度の局所的パルス加熱を行った結果,波動的熱伝導が観測された.この熱波に寄与する単層カーボンナノチューブの振動モードをウェーブレット解析を用いて明らかにし,その波動的特性を検証した.さらに,単層カーボンナノチューブに同位体が混入した場合の熱伝導への影響を検証した.疑一次元構造体の熱伝導への同位体超格子構造の影響を計算し,ある超格子構造の周期幅において有効伝導率が最小値を示し,合金の熱伝導率よりもさらに低い熱伝導率を達成することが可能であることを示した.
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Research Products
(7 results)